米国連邦議会議事堂占拠を巡る米国の混乱
2020年の米国株投資のリスクとして、大統領選挙の結果確定が長引くのではないかという懸念がありました。実際のところは、バイデン大統領の勝利が早期に確定、その懸念はあくまでも懸念で終わったと思われていました。その終わったはずの懸念が、先週米国連邦議会議事堂が占拠され、人命が奪われるという不幸な展開となり、誰もが想像もしなかった最悪の事態となってしまいました。
米国メディアはこの一連の事件を扇動した責任はトランプ大統領にあるとの見解を報道しています。
民主党主導の下院では、トランプ大統領を弾劾訴追する準備を進めています。これは大統領任期中二回目の弾劾追訴という前代未聞の展開です。
2021年1月20日のバイデン新大統領の就任式に向けて、全米の州都でトランプ大統領支持者のデモが起き、事態が悪化することも予想されています。ワシントンD.C.には週末までに少なくとも10,000人の州兵を配備するとの発表もありました。
米国株式市場への影響は?
では、このような事態が株式市場に与える影響はどうでしょうか。ニュース報道による「ヘッドライン・リスク」はあるものの、基本的に株式市場には大きな影響を与えることはないと考えます。2020年黒人のジョージ・フロイドさんが白人の警官に殺されたことがきっかけで全米でデモ、一部は暴動となりましたが、株式市場に与えた影響は限定的でした。マーケットのフォーカスは、バイデン新大統領就任後の景気刺激策が米国経済にどのような影響を与え、企業業績がどうなるかだと思います。
今週から米国企業の決算発表が始まります。現時点での、第4四半期のS&P500指数のEPSは前年同期比で8.5%の減益予想となっています。
2021年は、バリュー銘柄や小型株が市場をアウトパフォーム
私は2020年末から動画等で、「2021年はバリュー銘柄や小型株が市場をアウトパフォームする」とコメントしました。
2021年に入り1月11日まででS&P500指数は1.16%の上げにとどまりましたが、同期間S&P500バリュー指数は2.36%、S&P600小型株指数は6.82%上昇しています。
また、私は新興国株式市場も投資妙味があると考えていました。FTSE新興国株式指数も年初から3.58%上昇と堅調なスタートを切っています。
参考銘柄は1月4日付のこのコラムで紹介しています。小型株の個別銘柄の選択は難しいのではないかと感じられる投資家の方々には、SPDR S&P500バリューETF(SPYV)やSPDRポートフォリオS&P600小型株式ETF(SPSM)へ、また新興国株に投資を検討する場合はバンガードFTSEエマージングマーケッツETF(VWO)が良いと考えています。