年末年始で拡大した米ドル安

米ドル/円が102円台に突入するなど、年末年始で米ドルがこの間の安値を更新する動きが広がっている。たとえば、対豪ドルなどでは0.78米ドルに迫るなど、昨年来の米ドル安値を大きく更新する動きとなった(図表1、2参照)。ただしこういった米ドル安は、比較する「物差し」次第で、通貨ごとにかなりの差があるようだ。

【図表1】米ドル/円とNYダウ (2020年4月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表2】豪ドル/米ドルとNYダウ(2020年4月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

たとえば、52週MA(移動平均線)という「物差し」との関係で見ると、米ドル/円は足元でもそれを3%程度下回ったに過ぎないのに対し、豪ドル/米ドルはすでにそれを11%も上回った(図表3、4参照)。

【図表3】米ドル/円の52週MAからのかい離率 (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表4】豪ドル/米ドルの52週MAからのかい離率 (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

これは、経験的にはともに対円、豪ドルで米ドル「下がり過ぎ」拡大に向かっていることを示しているが、過去の実績からすると、対円での米ドルはまだ決して「下がり過ぎ」懸念が強いものではないのに対し、対豪ドルでの米ドルはかなり「下がり過ぎ」懸念が強くなっている可能性がある。

この一例でもわかるように、年末年始の米ドル安進行でも、どの通貨を対象にするかでかなり差がある。これまで見てきたように、対円での米ドル安は、経験的にはとくに「行き過ぎ」を警戒する状況にはなさそうだが、対豪ドルでの米ドル安は「行き過ぎ」警戒域に入っている可能性がありそうだ。