米ドル/円  日足

週間予想レンジ:104.00~106.50

メインストラテジー:押し目買い

・新型コロナワクチン開発の報道で状況一変、円高を阻止
・「リスクオンの円高」から「リスクオンの円安」へ
・米長期金利の上昇も米ドルを支え、円買いの余地を制限

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週、米ドル/円相場は大きく反騰した。と言っても、ほとんどの値幅は11月9日の値動きで実現され、2.5円に近い値幅をもって大逆転を果たし、「米ドル/円の流れをチェンジした」と言っても過言ではなかろう。前回下値トライを警戒していたが、先週の値動きを受けて、従来のシナリオへ復帰できるとみる。

もっとも、これまでの米ドル/円の流れを阻止できたのも新型コロナワクチン開発に関する報道による市場センチメントの大逆転であることは見逃せない。ワクチン開発の遅れで株高でも円が買われ、所謂「リスクオンの円高」が見られた背景には、米長期金利の低下があった。

ゆえに、ワクチン開発のポジティブなニュースが報じられると、米長期金利の急騰が見られたのも自然の流れで、異例な「リスクオンの円高」に対する修正も急速に行われたのである。先週週明けから米ドル/円は急騰し、一気に105円後半の打診をもって流れを転換させ、3月安値の打診や割り込みのリスクを大きく後退させたとみる。

11月9日の大陽線は典型的ではなかったものの、事実上「フェイクセットアップ」のサインを点灯した。すなわち、同日の大きな反転があったため、7月、9月安値の割り込み自体が一時的に留まっただけではなく、安値更新自体が「フェイク」、即ち「ダマシ」であったことが証左され、更に上昇方向へセットアップされたとみる。11月4日高値の上に大引けしたことはもっとも大きな証拠だとも読み取れる。

と言うのが、11月4日の日足自体が「スパイクハイ」風の星線、また10月21日以来の高値をザラ場にて一旦更新してから大きく反落し、「フォールス・ブレイクアウト」のサインを点灯してから翌日の急落をもたらした。その後103.17円の安値を記録したわけだが、11月9日の大陽線、一気に同サインを否定し、逆に9日罫線の意味合いが強化されたと言える。

従って、9日大陽線の再否定(同日安値103.19円割れ)がない限り、前記上昇方向へのセットアップは維持され、上値余地を拓く公算も高いと思われる。また、何らかの材料がない限り、11月9日安値の割り込み自体も容易ではなく、押し目があれば、むしろ押し目買いの好機と見なされるであろう。

長期スパンでは、3月安値を割り込むリスクの後退を受け、我々は従来のシナリオへ復帰できると思う。2015年高値を起点とした大型トライアングル型の保ち合いは、2020年3月安値をもって終焉し、同安値からすでに上昇波を形成し、またコロナショックによって検証されたと見る。

同視点では、3月高値を起点とした反落は延長され、また想定より深い押しを果たしていたが、先週の急反発を受け、同調整波動という位置づけが強化され、またすでに終焉したと認定できる。

要するに、先週安値を起点とした上昇波がすでに形成され、時間がかかっても106~107円といったメイン抵抗ゾーンのブレイクに成功する見通しである。終値をもって106円以上を維持できれば、底打ちを証左するサインとして更に注目される。押し目買いのスタンスをしばらく維持していきたい。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:75.50~78.50

メインストラテジー:押し目買い

・10月高値更新をもってブル基調への復帰を示唆
・「リスクオンの円高」の終焉で高値を追う展開へ
・調整子波の終焉が認定され、高値再打診を有力視

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週、豪ドル/円相場は急反発し、11月9日の急伸で内部構造を鮮明に示唆。従来のブルトレンドへの復帰を果たしたとみる。米ドル/円の値動きと連動したように、所謂「リスクオンの円高」の終焉が認定され、これから年初来高値の再打診を有力視される。

もっとも、米ドル/円と違って、豪ドル/円はすでに2週連続の陽線引けを記録している。そして先々週の切り返しを継承する形でブル基調に復帰してきたことがより鮮明である。構造上の見方として、10月高値の更新は重要であろう。先週の続伸、また10月高値76.54円の一旦ブレイクはもっとも重要なサインと見なされ、今週の押し目買いのスタンスにつながったと言える。

言ってみれば、8月31日高値78.47円を起点とした反落波、10月末安値73.13円までの反落自体が典型的なジグザグ構造を示し、同反落を証左するには10月高値のブレイクがひとつの物差しであった。ゆえに、先週の続伸や高値トライがあって、ジグザグ調整子波の終焉を示唆し、またブル基調への復帰を示したと見なされ、ここから年初来高値を更新していく流れを強めるであろう。

そうなると、先週安値を割らないで、数字上75円関門前後における支持が見られる限り、ブル基調の継続が有力視され、また必然的に年初来高値のトライにつながるであろう。従来の抵抗ゾーンが一旦突破されると、一転して支持になりやすいという経験則では、何らかの材料なしでは75円関門を安易に割り込めないかと思う。

11月9日の大陽線は、途中の加速の象徴としてブルモメンタムの維持を示唆。同大陽線が比例されない限り、10月高値の更新が「ホンモノ」と認定でき、また前記ブル構造の維持につながる。8月末高値から10月末安値まで2ヶ月間かかった調整子波が、9日大陽線をもって終焉したことを証左された以上、年初来高値の更新はむしろ自然な成り行きであり、3月安値を起点とした大きな上昇波の一段の延長を認定できる。

当然のように、78円関門や78.47円の打診があれば、80円心理大台の打診が射程圏に入る。77円前半における抵抗、目先再度見られてもいずれ突破されると思われ、突破された後の高値追いも一手かとみる。

すなわち、2か月間の調整があったからこそ、3月安値を起点とした大型上昇波がより健全化され、目先上値追いしやすい環境にある。先週の続伸を「ブルトレンドにおける途中の加速」と見なした場合、ブルモメンタムの強化がまだまだ続く公算は高い。

この意味合いでは、先週安値を割り込めない限り、過大な押し目を期待しないほうが得策かと思う。出遅れたロング筋の参入も想定され、今週の下値余地があっても限定的である。また高値の再更新があれば、一段の弾みを覚悟しておきたい。