米ドル/円 日足
週間予想レンジ:103.50~105.50
メインストラテジー:戻り売り
・レンジ下限を再確認、一旦「底割れ」か
・正常な変動率に戻り、下値打診もレンジの一環
・米大統領選に関する材料次第、一波乱を警戒
アナリシス:
米ドル/円相場は先週反落幅を拡大。一時104.33円の打診をもって正常な変動率への復帰を示した。というのは、10月21日の値動きを除けば、10月以来の変動幅は1円程度で、そのまま推移していくと、2019年12月の1.3円程度の「動かなかった歴史的な記録」を更新しかねない。すなわち、米ドル/円の下落を通常な変動率で見る場合、むしろ当然の成り行きであり、下値打診があっても、なおレンジ変動の一環と位置づける。
先週の指摘の通り、先々週106円関門を突破できず、また陰線で大引けしたことに鑑み、中段保ち合いの継続があっても頭重い印象を払拭できず、レンジの下限を再打診してもおかしくなかった。106~107円といった抵抗ゾーンを突破できない限り、104~105円といった支持ゾーンの再確認があってもむしろ自然な成り行きとみていたため、先週の値動きは「我々の想定範囲内」と言える。
もっとも、10月の高値は6月末高値から引かれたメイン抵抗ラインの存在を意識、上値抵抗を再確認した形で形成されたところが大きい。上放れできず、またレンジ内へ戻ってきたことは小康というか、中庸の状況を示し、米大統領選の結果が明らかになるまで動けない。とは言うものの、正常な変動率に戻っただけで104円関門のトライがあっても計算の範囲なので、これから一旦104円関門割れもあり得る。
要するに、米ドル/円の頭重さがなお支配的であり、円高より米ドル安の側面のほうが大きいため、レンジの一環と位置づけるが、当面下値の拡大を覚悟しておきたい。
しかし、値幅限定でも「底割れ回避」自体が大きな意味をもつ。すなわち、9月の「底割れ」回避が重要だったため、これから9月安値の104円関門を一旦割り込むことがあっても、継続的に下回れるかどうかが焦点となってくるであろう。
そもそも、今までの「底割れ」というのは「7月安値を割り込むこと」だが、9月21日一旦割り込んだものの、その後切り返しを果たしたことを指している。そのため、今後9月安値の一時割り込みがあっても、同じパターンを繰り返す公算が多いとみる。より長い視点でみれば、米ドル/円の下値余地がやはり限定されることを再度強調しておきたい。
つまるところ、3月高値を起点として調整波、大型ジグザグ変動パターンと数えられ、6月高値109.86円から「3月高値~5月安値」の値幅で測る(要するにN字型変動)104.10円前後の下値目途が得られたわけなので、7月末の安値は同計算値に近く、また7月31日の大幅反騰を果たしたため、N字型変動の完成を示唆していた。
そうなると、9月の一時安値更新、またその後の力強い切り返しは同見方の否定ではなく、むしろ強化するサインと見なす。これから9月安値の再更新があっても、同流れを汲む形で下値限定なら、支持ゾーンの再確認につながり、「底割れ回避」の公算をかえって強化してくれるであろう。
とは言え、短期スパンではやはりもう一回下値トライの余地が大きい。8月28日大陰線を「母線」とした「インサイド」のサイン、一旦下放れを確認した以上、先々週からの反落も理解されやすい。要するに、前記「インサイド」の大きさに鑑み、一旦下放れがあった以上、8月28日高値の完全回復があっても紆余曲折の公算が大きい上、一旦104円割れの可能性も大きい。
また、先週の下落幅を早期取り戻せない限り、10月高値を「ヘッド」と見なし、10月22日高値を「ショルダー」と見る場合は、「ヘッド&ショルダーズ」というフォーメーションの成立で、これから一旦104円割れの計算となるため、今週引き続き頭重い展開となるであろう。米大統領選に関する思惑や材料が出やすい時期であるだけに、一波乱も警戒したい。
豪ドル/円 日足
週間予想レンジ:72.50~75.50
メインストラテジー:戻り売り
・豪ドル/米ドル次第だったが、米ドル/円の影響も増す
・再度75円関門以下に大引けをもって弱気基調を証左
・9月安値の更新があれば、下落モメンタムの加速も
アナリシス:
豪ドル/円相場は先週、値幅限定。また「星線」に近い形で大引けしたものの、週足で陰線となり、また再度75円関門以下の大引けをもって反落波の進行を示唆した。ゆえに、先週の値動きを「途中のスピード調整」と見なし、先々週からの流れを継承していくと推測される。
先々週は大きく反落した。74.62円の大引けをもって週足で「大陰線」を形成したことは重要なサインであった。繰り返し指摘してきたように、豪ドル/円は豪ドル次第なので、再度頭打ちされ、また再反落してくる公算が大きかったため、先々週の大陰線はその証左となった。また先週の継承で続落の余地をこれからも拓くであろう。
先々週の指摘の通り、10月第1週の続伸で一旦切り返しの拡大を示唆していた。9月第3週の大陰線に包まれる形で、同第4週の小陽線があったため、「インサイド」のサインを点灯。今月初めの週において一旦上放れがあったため、本来一段と切り返しの余地を拓いてもおかしくなかった。しかし、結果的に、それは「ダマシ」のサインと化した。
既述のように、77円関門~同前半は目先の抵抗ゾーン、「インサイド」の上放れが本物なら、早期ブレイクを果たすはずであった。すなわち、「早期ブレイクをできない限り、9月安値を起点とした上昇もかくまで切り返しの一環と見なし、「インサイド」の上放れがあっても上値トライの継続がない場合、かえって頭重さが暗示される」という我々の見方の通り、先々週の反落で反落波への復帰を示唆した。さらに、先週の値幅限定はしばらく反動(下落)の流れの継続を示唆した。
もっとも、「インサイド」の上放れがあっても一旦失敗する形となり、再度頭打ちが確認されやすいタイミングにあったため、先々周の反落は我々の推測の通りである。またメインシナリオに沿った値動きとなっている以上、今週9月安値の再打診や割り込みを想定しておきたい。先週の値幅限定は、言ってみれば切り返しの力不足の再確認とも解釈されるため、メインシナリオの強化につながる。
既述の通り、頭打ちが確認された場合は再度安値トライを試し、終値をもって再度75円関門を下回れば、反落波へ復帰するサインと化しやすい。先々週の大陰線や終値に鑑み、同条件を果たし、先週も同関門を下回って大引け、条件を一段と強化したと言える。一旦安値更新があれば、72円半ばまで当面大した支持ゾーンを得られず、今後のターゲットとして浮上しやすいため、「近々のトライを覚悟しておきたい」という見方は維持される。
根本的には、6月、7月高値や6月12日安値で形成されたフォーメーションは「上昇トライアングル」であったことは重要であった。本来なら、一旦上放れがあったから80円心理大台の直接打診があってもおかしくなかった。
しかし、8月末78円台半ばに留まり、その後逆一直線に反落し、更に75円心理大台以下の大引けが一旦確認されたため、前記フォーメーションの消滅のみではなく、同フォーメーションに対する上放れ自体が「ダマシ」であったことを暗示し、これからの下値リスクを示唆する。そのため、メインシナリオとして反落波継続の見通しが維持できたわけだ。先々週からの反落を当然の成り行きとみる。
従って、先週と同様、今週も「戻り待ちの戻りなし」といったリスクも意識され、9月安値の割り込みで一気に下値トライが加速される市況が想定される。72円半ばのターゲットをトライしない限り、反落波の終焉も安易に見られないため、引き続き下値リスクを警戒したい。
米大統領選の状況次第で、一時にせよ、「材料次第の豪ドル買い(つまり米ドル売り)」もあり得る。ただし、米ドル/円の動き出し、即ち正常な変動率に戻った分、米ドル/円の影響も増してきたため、豪ドル/円の波乱があっても頭重い状況が変わらないと見る。戻り売りのスタンスを維持したい。