英ポンドへの影響を考える
15日は、英ボリス・ジョンソン首相が、EU(欧州連合)との貿易協定の期限に設定した日。その意味では、この日までに英国とEUが合意に達しなければ、「合意なき離脱」に突入することになる。では、それは英ポンド相場にどんな影響をもたらすか。
ケース1(合意なき離脱の可能性が高まる)
15日までに両者が合意に達せず、「合意なき離脱」リスクが高まったら、英ポンドは売られるかといえば、売られる可能性が高いのではないか。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋のポジションを見る限り、足元でも英ポンドは小幅の売り越しにとどまっている(図表1参照)。これは、英ポンド売りに余力がまだまだありそうな可能性を示している。
また、この間の英ポンドは英金利と一定の相関関係が続いてきた(図表2参照)。その英金利は先週で上昇が一巡、これを受けて日英金利差英ポンド有利は今週にかけて縮小が再開している。「合意なき離脱」の可能性が高まったとしても、英金利が上昇するなら、英ポンド売りは限られる可能性があるが、今のところそういった状況ではなさそうだ。
ケース2(合意なき離脱回避の可能性が高まる)
「合意なき離脱」となった場合に、大混乱は不可避と予想される。それは英国、EUともに望まないシナリオであり、最終的には「合意なき離脱」は回避されるだろうといった見方は根強い。では、そうなった場合、英ポンドはどれだけ反発するか。
「合意なき離脱」回避で、英ポンドが反発するなら、英金利が急騰する場合、また「売られ過ぎ」の反動で買い戻しが殺到する場合などだろう。まず後者については可能性が低いだろう。上述のように、足元では決して「合意なき離脱」を織り込むような英ポンド「売られ過ぎ」の状況にはないからだ。
では、前者、英金利はどうか。英金利が先週から低下再燃となっているのは、BOE(イングランド銀行)のマイナス金利の可能性に反応しているようだ。ということは、「合意なき離脱」リスク後退となっても、マイナス金利の可能性を受けた英金利低下傾向が変わらなければ、英ポンド反発は限られるのではないか。