インフレになる前にインフレ対策をとろう
前回のコラムでは、コロナ禍で日本の財政悪化が深刻化し、インフレリスクが高まっているなか、「インフレ訓練」をする必要があるという話をしました。
災害と同じで、インフレも事前に対応しておかなければ手遅れになってしまうと考えており、インフレにも事前の訓練が必要だと考えているからです。
「インフレ訓練」と言うのは聞きなれない言葉ですが、ここではインフレになる前にインフレ対策をとることを意味しています。
では、「インフレ訓練」として具体的にやっておくべき事は何でしょうか。私が行っている3つの対策をお伝えします。
インフレ対策(1)リスク資産を購入する
インフレになって最も大きくマイナスの影響を受けるのは、預貯金です。定期預金や国債は元本保証ですが、物価が2倍になれば、額面は同じでも実質的な価値は半分になってしまいます。インフレにおいて元本保証されていることは、実はあまり意味がないということです。
インフレになれば、株式や不動産などのリスク資産の価格の上昇が予想されます。
また、法定通貨に対する信用が下がれば、金や暗号資産へのニーズが高まるかもしれません。
安全資産でリスクを取らないことが、実は最大のインフレリスクになりうるということを覚えておいてください。
インフレ対策(2)外貨資産の比率を高める
インフレ通貨は貨幣価値が下がるため、日本でインフレが起これば、日本円の価値が下がり、円安になることが予想されます。
したがって、2つ目のインフレ対策としては、外貨資産を保有することが挙げられます。
日本の個人金融資産の90%以上は、円資産に偏っていると言われていますが、資産の50%を外貨資産にすることを基準にして、資産配分を決めていくことを私はお勧めしています。
外貨資産を保有することがリスクなのではなく、「保有しないことがリスク」だと私は考えているからです。
インフレ対策(3)借り入れを行う
インフレに備える3つ目の方法は、お金を借りておくことです。
お金を借りていてインフレになったら、実質的な借入金額は減少します。金利の影響を考慮しなければ、物価が2倍になっても借金は2倍にならないと考えられるからです。
例えば、2000万円の借入をして、不動産を購入するとします。もし物価が2倍になれば、不動産価格は2倍の4000万円になるかもしれません。しかし借りている2000万円はそのままです。
私は、インフレはお金を借りている人にとって、都合の良い現象だと思っています。
インフレは金融資産に影響を及ぼす可能性も
今回のコロナ禍に伴う財政支出の拡大で、日本の財政赤字はさらに膨らみ、インフレリスクがさらに高まったと考えています。
私は、インデックスファンドや不動産のようなリスク資産を保有し、外貨比率を資産全体の6割位まで高め、お金を借りられるだけ借りています。
そのためインフレが起こることに対する不安もありません。
インフレはいつどのぐらいの規模で起こるのか誰にもわかりません。しかし、もし発生すれば、個人の金融資産に大きな影響を及ぼす可能性があります。
インフレが起こり得るという事態に備えて、平時から手を打っておくべきというのが私の考えです。