FOMCで米国株安の流れはどうなる?

先週の米ドル/円は106円近辺での方向感の乏しい展開に終始しました。そんな米ドル/円に比べると、ユーロ/米ドルなどは少し動きがありました。

週前半は、前週からの流れを引き継ぎ、一時1.18米ドル割れとなりました。ただその後は、順相関の関係が続いている米国株が急落一服となったこともあり、ユーロ/米ドルも下げ渋る展開となりました。

以上のように見ると、今週の焦点の一つはやはり米国株の動向でしょう。米国株では、たとえばNYダウはこの間の高値からの下落率が5%程度となっていますが、これまでの上昇をリードしてきたナスダック指数は、すでにこの間の高値からの最大下落率が10%まで拡大。先週も4営業日のうち3営業日で陰線引けとなるなど、まだ不安定な状況が続きました(図表1参照)。

【図表1】過去3ヶ月の米ナスダック指数(2020年6月~)
出所:マネックス証券分析チャート

このように、ナスダック指数の下落が、NYダウに比べて大きくなるのは、割高修正の影響もあるのかもしれません。NYダウに対するナスダック指数の割合は一時0.4倍を上回り、2000年のITバブル以来の割高となりました(図表2参照)

【図表2】米ナスダック指数/NYダウ(1990年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

経験的には、NYダウに対するナスダック指数の割合は、0.2~0.3倍程度が平均的水準でした。これを、足元のNYダウを前提で考えると、ナスダック指数は5000~8000ポイントがニュートラルな水準といった計算になりますから、1万ポイントを大きく上回る最近の動きは、過去の実績からすると相当な割高ということになるでしょう。

そんな割高是正も含め、これまでと逆コースとなるナスダック指数、グロース株、テクノロジー株が主導する株安がさらに続くかは、為替相場の行方を考える上でも最大の焦点ではないでしょうか。最近にかけての為替相場は、冒頭でも述べたように、米ドル/円を除き、ユーロ/米ドルなどはNYダウなど米国株と順相関の関係が続いてきたからです(図表3参照)。

【図表3】ユーロ/米ドルとNYダウ (2020年4月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ユーロ/米ドルは先週、注目されたECB(欧州中央銀行)会合でユーロ高への強いけん制がなかったとして一時1.19米ドルまで上昇する場面もありましたが、米国株が急落すると、ユーロ/米ドルも急反落となり、改めて両者の順相関関係を確認するところとなりました。

今週は16日にFOMC(連邦公開市場委員会)が予定されています。FOMCを前後して、米国株安の流れがどのようになるか、それは為替相場の行方を考える上でも大きな焦点となる可能性がありそうです。