急落再燃の英ポンド
英ポンドの下落が再燃している。9月1日には143円近い水準まで上昇していたが、10日には135円台まで急落。この間の最大下落率は5%に拡大した。「合意なきEU離脱(Brexit)」懸念が再燃したためとされている。
英ポンドは、昨年以降2回、125円前後まで急落した。昨年8月と、そして今年3月の「コロナ・ショック」局面だ。ところで、この2回の英ポンド安局面に比べ、日英金利差における英ポンド優位は最近にかけて一段と縮小した(図表1参照)。金利差の観点からすると、英ポンドは昨年以降の安値を大きく更新するリスクが高まっている。
【図表1】英ポンド/円と日英金利差(2019年~)
もう一つ、ポジションの観点にも注目してみたい。Brexitリスクが広がる中でも、英ポンドが循環的に底打ち、反転となってきた一因に「売られ過ぎ」ということがあった。たとえば、昨年8月、英ポンド/円は125円で底打ち、反転となったが、CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の英ポンド売り越しは、当時10万枚以上に拡大、過去最大規模となっていた(図表2参照)。まさに、「売られ過ぎ」の反動が英ポンド反発の一因になったと考えられた。
【図表2】CFTC統計の投機筋の英ポンド・ポジション(2015年~)
これに対して、足元の英ポンドは小幅ながら買い越し。英ポンドを売る気になれば、「余力」はたっぷりありそうだ。
以上のように見ると、「合意なき離脱」懸念などの英ポンド売り材料が今後も続くようなら、英ポンドは金利差やポジションなどの観点からすると、大幅な下落リスクを抱えている可能性があるのかもしれない。