今日は、新型コロナウイルス問題にまつわる最適配分について書きたいと思います。最適配分というと、私の一番得意分野は投資の世界です。どんな投資対象物(株式など)にもそれぞれ固有のリスクとリターンがあって、リスクの全くないものはありませんし、リターンが無限のものもありません。投資の世界では、「どんなものにも適正な値段がある」と云いますが、リスク・リターンに応じた値段が、どんなものにも付けられることになります。
複数の投資対象で構成されたポートフォリオを作る時には、投資対象それぞれのリスク・リターンと、投資対象間の様々な相関関係などによって、全体のポートフォリオの構成と、それぞれの投資対象に対する投資額を決定して、最適なポートフォリオを作るのです。会社組織を作る時も同じで、人それぞれの特性と、能力と、コストがあり、どういう組み合わせでどう払うかを工夫して、一定の予算で、組織として最大の出力が出るようにするのです。社会問題もそうでしょう。軽犯罪はなくした方がいいですが、軽犯罪を完全になくすために、その対策に膨大な数の警察官を配置して、より凶悪な犯罪を取り締まる警官の数が減ってしまっては、社会に対する警察のあり方として最適ではありません。
新型コロナウイルス対策で私が気になるのは、この社会的最適化がなされているか?という点です。どんな病気にも、重症化したり、併発症を惹き起こしてしまう患者さんがいますし、残念ながらお亡くなりになる患者さんがいます。病気によっては、他人に移る可能性のある病気もあります。それぞれの病気に固有のリスクや特性があり、それぞれに対して様々な医療インフラが使われ、医療従事者の方々の時間とエネルギーと技術と情熱が費やされます。そしてそれらを実施するために、それぞれに応じた、お金が使われます。
厚労省の2019年の人口動態統計によると、年間の死亡者数は138万1098人でした。毎日4000名弱の方々が亡くなった計算になります。そこには様々な死因があります。新型コロナウイルスを死因とする死亡者数は過去半年で、1103人です。去年の年間死亡者数の半数で割ると、その比率は0.16%です。このような状況の中で、今の対応は最適でしょうか?
もちろん新型コロナウイルスには、様々な特殊な状況があります。第一は、治す薬がないことでしょうか。しかし風邪だって治す薬はありません。第二に、移る経緯が良く分からないこと。そしてだからとても心配なこと。もちろんそうです。私も心配です。心配するのがおかしいなどとは思ってませんし、ひとことも云ってません。私はこの問題に対してこれだけの社会の制限や医療インフラの特殊対応、そして税金を使うことについて、もっとその理由を政府に説明して欲しいのです。
もちろん多くの説明はしてくれています。専門家の方々も閣僚も、説明してくれています。しかし私は、全体の中でどうなのか?最適配分という観点も含めた上で、説明して欲しいのです。私は、新型コロナウイルスは恐くないとか、ただの風邪だとか、そんなことは思ってないし、云ってません。私たちの社会には有限のリソースしかなく、私たち人間にも有限の時間しかありません。それらの広義の有限のリソースをどう使うべきか、そのことについてちゃんとデータと共に議論出来るような素地を、もっと政府には提供して欲しいと思います。