中国政府は2011年~2015年の5年間の発展計画において、LED(発光ダイオード)産業を戦略的新興産業の1つに入れており、今後重点的に育成する計画です。2010年、中国でLED照明製品の普及率はわずか1%ですが、これから蛍光灯などの従来の照明製品がLEDに差し替わることによって、2015年には普及率が50%に拡大する予想もあり、中国のLED市場の規模は今後数年間で数倍に伸びる見込みです。このため、LED照明への投資に多くの照明企業が関心を持っています。中国には1万社以上の照明に関わる企業があり、乱立している状態でまだ大きなシェアを持つ大手が育っていません。

照明最大手の雷士照明(02222)と国際照明大手のフィリップスを含めた上位3社の売上は、中国照明市場全体のシェア2.5%しか占めているにすぎません。そこで今後、LED市場で大きなシェアを取れるように、各照明会社はLEDへの投資を積極的に拡大しているわけです。

具体例を見ていきましょう。2011年1月25日、照明器具製造の真明麗(01868)は1700万米ドルで米LED企業のHCI社を買収すると発表。HCI社はLED照明製品の設計、生産、販売を手がける会社で、世界で幅広い販売チャネルを保有しています。この買収の前にも、真明麗は、他の米国のLED企業2社を買収したばかりです。

一方、中国本土上海A株上場の陽光照明は今後3年間でLED照明に10億元を投資する計画を発表。同社は1350万元で漢光照明の50%の株式を取得し、その後、123.8万元で日系照明会社のLIRENインターナショナルの約30%の株式を取得しました。そのほか、4月3日、雷士照明は世界五大LED製造企業の米Cree社とLED市場開発の戦略的提携協議を達成しました。また同社は今後もLEDの技術と豊富な販売チャネルを保有する国内・海外のLED企業を買収する計画です。

中国のLED企業の規模と実力は海外大手企業とはまだ比べることができないほど小さいものですが、中国LED市場は爆発的に成長する将来性があるため、積極的に規模拡大を図っている大手企業は市場の成長によって大きな利益を受ける可能性があります。中国のLEDに投資をしている企業としては、ここまでに記載してきた銘柄の他に、韓国の高光度LED照明企業に投資をしている先思行(0595)やプリント基板(PCB)を製造している企業ですが、最近になってLED事業に進出した達進精電(0515)などがあります。

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