任天堂は8月6日にかなり強い第1四半期決算を発表、株価は翌8月7日時点で4%程度上昇するなど、マーケットでも好感をもって受け止められています。5月15日付の記事でお伝えした通り、世界トップクラスのアクティビストであるバリューアクトが任天堂(7974)に投資しています。今回の任天堂の決算を概観しつつ、バリューアクト側の主張を改めて振り返ってみたいと思います。

バリューアクトは、「任天堂は世界で最も優秀なゲームメーカーで、マリオやドンキーコングなど強力な知財を有し、ソフトウェア開発会社としても世界的なエンターテインメントカンパニーに成長できる」という見方を示しています。バリューアクトがここで「世界的なエンターテインメントカンパニー」の例に挙げたのはディズニーやネットフリックス。両社の時価総額は20兆円程度である一方、当時の任天堂の時価総額は6兆円です。任天堂の株価に上昇余地がありそうに見えます。(ちなみにディズニーとネットフリックスは当時からさらに1割程度、時価総額を伸ばしています。)

では、今回の任天堂の決算を見てみましょう。売上は倍増、営業利益・経常利益は5倍以上になっており、営業利益は四半期ベースで過去最高だったとのことです。ちなみに同日発表されたトヨタ自動車(7203)の四半期決算の税引前利益が1182億円、任天堂の経常利益が1503億円なので、事業内容や会計基準が違うものの、利益水準では任天堂がトヨタ自動車を上回っています。

売上高が3580億円で営業利益が1450億円なので、営業利益率は実に40%。利益率の高さで定評のあるキーエンス(6861)に迫る水準です。売上・利益の水準、成長度合い、利益率、どれを見ても満点とも思える決算内容でした。

しかし、今回の決算が先ほど書いたバリューアクトの任天堂への見方を示した、つまり任天堂の底力を見せたものだと言えるかというと、そうではないように思います。つまり、「世界的なエンターテインメントカンパニー」としての任天堂の真価は「まだまだこれからだ」ということです。

5月22日付の記事でもお伝えしている通り、任天堂の課題は、ハード、ソフトともに任天堂の中だけで完結してしまっており、モバイルビジネスやデジタルビジネスが今一つで、収益にぶれが大きいところです。

次回はその課題にフォーカスしながら、任天堂の決算内容を見ていきましょう。