投資信託の中には、「テーマ型投信」と呼ばれるものがあります。これは、その時の相場で人気のテーマに関連した銘柄を選択して投資していく商品です。

話題性の高いテーマ型投信

例えば、2000年のITバブルのときには、インターネット関連やデジタル化に関連する銘柄に投資するファンドが多数設定されました。「ドッドコム銘柄」と呼ばれる社名に「.com」が含まれる銘柄に投資するファンドが多数設定されたのです。

また10年近く前には、アメリカのシェールガス採掘が話題になり、「シェール革命ファンド」といったエネルギー関連のファンドも設定されたことがあります。

最近では、人工知能による銘柄選択を行う「AIファンド」も注目されました。

テーマ型ファンドは、話題性が高く、個人投資家に注目されることもあり、特に対面型の証券会社の営業マンのセールスによって、当初の設定金額を大きく積み上げることも多いようです。

テーマ型投信に見られるリスク

しかし、テーマ型投信には、いくつかの問題も見られます。

まず、この手のファンドは、新規設定されているため、運用実績がありません。つまりトラックレコードがない中で、新しいテーマの投資信託の運用能力を判断しなければならないということです。運用のコンセプトだけで商品選定を行うのは簡単ではありません。また、販売手数料や信託報酬等のコストも、高めに設定されている場合が多いのです。

テーマ型投信の商品企画は、世の中で話題のテーマを選び出し、商品コンセプトを投信会社で練りながら、作り上げていきます。商品化されるまでにはどんなに早くても数ヶ月はかかりますから、その間に注目銘柄が値上がりしてしまい、マーケット環境が変わってしまうことも珍しくありません。そのため、人気だったテーマの後追いになってしまうリスクがあります。

そうならないためには、短期的に人気のテーマではなく、中長期的に世の中を大きく変えるようなテーマを選択する必要があります。

コロナ関連のテーマ型投信、注意すべき点は

最近では、「ウイズ・コロナ」、「アフター・コロナ」をテーマにした投資信託が設定されているそうです。

ビデオ会議サービスなどオンラインサービス企業や、新型コロナウイルス感染症の治療薬の開発企業、さらにはデジタル・トランスフォーメーション(DX)を活用し人との接触を避けるためのデジタル化を推進する企業などに投資をしていくファンドです。

繰り返しになりますが、テーマ型投信は「旬」が過ぎると、運用成績が低迷してしまうものも少なくありません。

株式市場は、誰でも知っているような旬なテーマに沿った銘柄を組み合わせるだけで高いパフォーマンスが得られるほど単純ではありません。

果たして、このような新型コロナウイルスの感染拡大をテーマにした投資信託の運用成績は、これからどうなっていくのか。推移を見守りたいと思います。