2011年5月以降、香港のIPO市場が再び活発になっています。特に、高級ブランド大手が次々とIPOを行っており、高級品ブランドのIPOブームとなっています。たとえば、香港及び中国本土で中古ブランドバッグの小売を手がける米蘭站(1150)が5月23日に上場しています。同銘柄はIPO段階で大きな人気を集め、上場初日のハンセン指数は大幅に下落したのに対し、米蘭站は65.9%も上昇しています。そして、5月30日、世界最大手の旅行カバンブランドのサムソナイト(1910)がIPOを開始しており、6月16日に上場する予定です。IPOの機関投資家枠は4倍となっています。2010年~2015年、世界の旅行カバン市場の年間成長率は5%であるのに対し、アジア市場の成長率は11.5%に、中国市場は19.2%に達する見込みです。
中国市場の成長に大きな期待を寄せるサムソナイトは中国でのブランド力を高め、中国での市場シェアを拡大するために、香港上場を選択したわけです。その他、イタリアの高級ブランドのプラダ(1913)も6月13日にIPOを開始する予定です。さらに、米高級ハンドバッグブランドのコーチ、英国の高級シューズブランドであるジミー・チュウ、イタリア高級ファッションブランドのサルバトーレフェラガモなどは香港でIPOする計画もあります。
国際大手高級ブランド企業は香港上場を通して、中国での知名度向上と中国での事業展開の加速を狙っています。例えば、2010年5月に香港に上場したフランス化粧品ブランドのロクシタン(0973)は今後5年間で中国店舗数を2倍に拡大する計画です。プラダは中国で2011年に9店、2012年に11店を開店する計画です。そして、これらの高級ブランド企業は香港市場で他の株式市場を上回る、高い株価評価を期待しています。
例えば、ロクシタンの株価は上場来で約30%上昇し、2011年の予想PER(株価収益率)は23倍です。その一方で、同業の仏化粧品大手のロレアルも中国で大幅な事業展開をしていますが、その海外市場でのPERは18倍です。そして、サムソナイトの2011年の予想PER は(証券会社によって予想が大きく分かれるところですが)およそ22倍、プラダの香港IPOの発行PERは21.1~27.7倍の予想であり、海外同業のPERを上回っています。ちなみに、香港のセクター平均の2011年予想PERは22~23倍となっています。
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