中国は世界3位の炭層メタン(CBM)の保有国で、炭層メタンの保有量は36.8兆立方メートル(m3)です。現在の確認埋蔵量はわずか1852億m3で、今後は大きな探査・開発の余地があります。中国国家エネルギー局が制定している2011年~2015年の炭層メタンの開発・利用計画によると、2015年末に、中国の炭層メタンの産出量は200~240億m3になります。そのうち、地上開発は100~110億m3で、地下開発は110~130億m3です。そうなると、今後5年間の中国の炭層メタンの産出量は2006年~2010年の5年間の産出量の2倍以上に規模を拡大することになります。
炭層メタンは天然ガスの代替エネルギーです。現在、中国の炭層メタンの産出量は75億m3で、天然ガスを代替する比率は10%にも及んでいません。今後5年間で中国の天然ガスは1600億m3の供給不足となる見込みです。もし、今後、炭層メタンが天然ガス消費量の50%を代替できれば、炭層メタンの需要が10倍以上に拡大する可能性があります。そして、現在、中国政府は炭層メタンの利用を促進するために、開発企業と発電企業に対し、それぞれ0.2元/ m3と0.25元/ m3の補充金政策を実施。そしてさらに、この補助金が引き上げられる観測があります。
炭層メタンの需要拡大にあわせ、大手エネルギー会社は炭層メタンの開発に力を入れています。中国石油(0857)の2010年の炭層メタンの産出量は3億m3ですが、2011年は倍拡大の6億m3に増加し、2015年には40億m3を生産する計画です。2015年の中国の炭層メタンの産出量は200億m3であれば、中国石油の産出量は全体の5分の1になります。中国海洋石油(0883)は2011年初に中聯炭層メタン会社の株式の50%を取得し、炭層メタン分野に進出し始めています。中聯炭層メタン会社は500億m3の炭層メタンの備蓄量を保有しています。その他、大手民営エネルギー会社の中国油気(0702)は2010年末に24億香港ドルで炭層メタン資産を購入し、2013年に炭層メタン10億m3を生産する計画です。また、中国神華能源(1088)、中国中煤能源(1898)、ヤン州煤業(1171)といった石炭大手企業、都市ガス供給の中国燃気控股(0384)なども開発に乗り出しています。