新型コロナウイルスに対して極端に悲観的な日本

先日オンラインメディアで紹介されていたコンサルティング会社のグローバルな調査によれば、日本は他国と比べると新型コロナウイルスに対し、楽観的と思う人より悲観的に見ている人が圧倒的に多いという結果が出ているとのことです。

日本より新型コロナウイルスによる死亡者が圧倒的に多く、今なお新規感染者数が増えているにも関わらず、海外では夏のバカンスを見越して旅行会社がキャンセル料無料のツアーを販売するなど、経済活動再開にアクセルを踏み始めているところもあるようです。

ところが日本では、夏休みの話をしても、なんだか不謹慎といった雰囲気が未だにあるようにも感じます。東北のとある場所では、東京から来る人は敬遠されるという話も聞きました。私の友人は東京から中部地方にある実家に帰省しようとしたら、近所の目もあるから、しばらく実家には寄らないで欲しいと言われたそうです。

東京では今なお新規の感染者が出てはいますが、その数はわずか数10名です。1000万人以上が暮らす街で交通事故よりも少ない数字です。また、医療施設にも余裕が出てきているとも報道されています。

このような状況下で、新型コロナウイルスに対して今なお過剰に反応するのは、私には不思議に思えます。

感染拡大防止に成功したのに政権支持率が下がる不思議

また、安倍政権に対する批判が高まっているのも日本の特徴です。日本国内では新型コロナウイルス感染拡大に対し、緊急事態宣言を発動し、海外のようなロックダウンをしないで抑えこむことに成功しました。

初期対応を誤ったアメリカや、未だに感染対策は必要無いと強弁しているブラジルなどに比べれば、遥かに優れた対応と言えます。欧米各国に比べ桁違いに少ない死亡者数は、対策が正しかったからではなく、もしかしたら何か別の要因「ファクターX」があるのかもしれません。

安倍政権の対策は「アベノマスク」の配布や特別給付金の支払いの遅れなど、批判が多く、内閣支持率は最低レベルまで低下しています。政策に稚拙な点や不透明な内容があったことは事実かもしれませんが、他国に比べ、結果的に遥かにうまく乗り切ったと言える現状であっても、賞賛の声はほとんどなく、批判が多いのは何だか不思議です。

世界からの情報が遮断されている「鎖国日本」

新型コロナウイルスに対して海外と国内の反応にギャップがあるのは、国民性の違いかもしれません。

日本人は潔癖症でリスクに対する過剰反応をする傾向があります。また、同調圧力が強く、新型コロナウイルスに対して楽観的なコメントをしにくい雰囲気が醸成されているように感じます。

また、大手企業などは自社で感染者を出さないようにする対策を取っています。法令遵守のためのフローが多く、時として過剰にもなりがちなため、生産性に影響が生じる場合がある「コンプライアンス」と同じような状況にも思えます。

メディアの影響もあります。海外からの経済活動再開のニュースも、感染の再拡大が懸念されるといったネガティブなトーンで報じられ、経済低迷リスクと感染リスクをバランス良く報道する情報提供が行われていないのではないでしょうか。

「世界の常識は日本の非常識」

グローバル化されているように感じても、未だに日本は世界の動きとは異なる動きを見せることがあります。世界では常識とされていることでも、日本では非常識になってしまうのです。

これは、日本人は政府やメディアからの情報をそのまま受け取る傾向があるためだと思われます。海外がすべて正しいとは言いませんが、現在の日本国内の状況は新型コロナウイルス感染に対する保守的なバイアスがかかり過ぎていると感じます。

政府や地方自治体、そして国内のメディアが伝える情報だけではなく、海外からのダイレクトな情報と比較することで、できるだけバランスが取れた情報収集をするようにいたしましょう。