前代未聞の大暴落から急反転した原油相場

原油相場の反発が続いている。WTIは30ドルを大きく上回り、協調減産期待を裏切り、原油相場の一段安が始まった3月上旬以来の水準を回復してきた(図表1参照)。

【図表1】WTIの推移(20020年1月~)
出所:リフィニティブ・データよりマネックス証券が作成

ところで、そんなWTIの動きを90日MA(移動平均線)からのかい離率でみると、一時マイナス120%以上に拡大したところから、ほぼゼロとなった(図表2参照)。つまり、この間の原油相場の反発は、未曽有の「下がり過ぎ」の修正が一気に進んだ結果だったといえるだろう。

【図表2】WTIの90日MAからのかい離率(2000年~)
出所:リフィニティブ・データよりマネックス証券が作成

そして、WTIが30ドルを大きく上回ってきたことで、「下がり過ぎ」もほぼ是正された可能性が出てきた。ここからさらにWTIが上がるなら、これまでから一転、「上がり過ぎ」拡大に向かう意味になる。

WTIは年初の60ドルを上回っていたところから、一時前代未聞のマイナス価格まで大暴落となった。大雑把にみると、30ドル台まで戻ってきたことで、下げ幅のほぼ半値を戻したといえる。

「コロナ・ショック」の世界的な株価大暴落も、日米の主要な株価指数などその後の反発は「半値戻し」で足踏みとなっているケースが少なくない。その意味では、「下がり過ぎ」修正で反発した原油相場だが、ここからさらに上がるか、それとも再び下落に向かうか、一つの分岐点を迎えている可能性があるのではないか。

この間の原油相場反発は、資源国通貨などのサポート要因となってきたが、上述のような見方からすると、その面でも分岐点を迎えている可能性がありそうだ。