今週(2020年5月11日~)は決算発表ラッシュで、トヨタやソニーなど注目度の高い企業の発表が目白押しとなります。

日経平均の2万円台回復、マザーズ市場の活況、そしてアメリカの経済活動再開による株高などで投資家心理が幾分か改善しており、弱い決算への反応は現時点では薄いとみられます。5月14日に緊急事態宣言の早期解除の方向で話が進んだ場合は、買い戻しが強まる場面もあるかもしれません。

さて、日経平均は緩やかな戻り歩調にありますが、1月高値から3月安値までの下げに対する半値戻し(20,237円)を達成した水準です。

今後は2万円の大台固めから上値を追えるかが焦点となりますが、依然として下落基調を続ける75日移動平均線や100日移動平均線が上値に控えている点が気になります。25日移動平均線が下落基調にあった当時、上値の抵抗になったように、次は両線で挟んだ20,800円~21,500円水準で上昇が一服する可能性があるためです。

黄金分割比率である61.8%戻しの水準が21,150円である点も踏まえると、水準到達後は調整局面入りも想定する必要があると思います。

ほかの留意点としては、 2018年以降の価格帯別の累積売買代金をみると、21,000円以上から500円刻みで200兆円前後の大量の売買が過去にあったことがわかります。3月に向けての急落過程で買い持ちの整理も大幅に進みましたが、戻り待ちの売りが強くなる水準と判断できます。

セル・イン・メイという格言がこの時期よく聞かれるように、ここから一段高があったとしても5月はどこかで戻り高値を付けることが予想されます。ですので、特に米中関係に関しては「悪化」に対する反応には注意が必要です。

【図表1】日経平均(日足、2020年1月4日~5月8日)
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成