このレポートのまとめ

1.    在宅で孤独な女性がマッチングアプリを積極利用
2.    マッチ・グループの決算は良かった
3.    ビヨンド・ミートの決算は良かった
4.    ショッピファイの決算は良かった
5.    シェイク・シャックの決算はまちまちだった
6.    ウォルト・ディズニーの決算は悪かった

在宅で変わるマッチングアプリのユーザー行動

今週「ティンダー」や「OKキューピッド」などのマッチングアプリを展開しているマッチ・グループ(ティッカーシンボル:MTCH)が決算発表しました。外出が大きく制約されている昨今、マッチングアプリのユーザーも盛り下がっていると思いきや、意外な事実が明らかになりました。30歳以下の若い女性が以前よりマッチングアプリのヘビーユーザーになっているのです。女性の方から先にメッセージを送る、以前より多くマッチングするなど行動様式に明らかな変化が出ています。これは、新型コロナウイルスによる在宅で、特に女性に孤独感が募っていることが関係していると思われます。

いずれにせよ「おそらく悲惨なコトになっているのでは?」と思われたマッチ・グループの決算は、そうした動きに助けられてまずまず良い内容でした。とりわけ懸念されていた顧客離反が少なかったことで投資家はホッと胸をなでおろしました。

■マッチ・グループ(MTCH) 良かった

マッチ・グループ(ティッカーシンボル:MTCH)の第1四半期決算は良いものでした。

サブスクライバー数は+15%の990万人、APRUは1セント上昇し59セントでした。

ティンダー・ディレクトの売上高は+31%で、うちサブスクライバーは+28%、APRUは+2%でした。ティンダー・サブスクライバー数は600万人となりました。

営業利益は+13%の1.35億ドルでした。営業マージンは25%(前年同期26%)でした。

新型コロナウイルスの影響でユーザーの多くは外出を控えていますが、ヒンジのユーザーの70%は電話やビデオのデートに積極的だと回答しています。OKキューピッドのユーザーの94%はバーチャル・デートを続けると答えました。

30歳以下のユーザーのアクティビティーは活発化。マッチング回数、メッセージ送信回数は増えています。1日あたりのメッセージ送信回数は2月最終週に比べて+27%で推移。30歳以下では+35%でした。

また、メッセージを見ても長い会話を行っていることがわかっています。

ティンダーにおけるDAUならびにスワイプ数は過去最高でした。とりわけ30歳以下の女性の1日平均スワイプ回数は+37%と増加しています。女性からのリアクションの増加は男性ユーザーの満足度も上がるため極めて重要です。

その反面、新しいユーザーの獲得には苦戦しています。ユーザーの課金に対するモチベーションの低下も課題です。特に年長のユーザーが課金しなくなっており、若い男性の課金も減っています。

これに対し、女性の新規加入は非常に活発です。また女性はエンゲージメントの面でも積極的になっています。

ティンダーは2月から3月にかけて初めてサブスクライバー数が前期比でマイナスを記録しましたが、4月はやや持ち直しました。サブスクライバー数はコロナ禍が酷い地域ほど不活発でした。ARPUは下落圧力が働いています。

マッチ・グループは新型コロナウイルスに対応するため1対1ビデオチャット機能を強化中です。ティンダーの1対1ビデオチャット機能は第2四半期後半に実装予定となっています。

現在、テレビの視聴率は上昇していますがテレビ広告の料金は下落中であり、これを機会にテレビ広告を強化が有効だと判断します。

マッチ・グループ(MTCH)日足チャート
出所:トレードステーション

■ビヨンド・ミート(BYND) 良かった

ビヨンド・ミート(ティッカーシンボル:BYND)の第1四半期決算は良かったです。

第1四半期の小売売上高成長率は+185%、フードサービス売上高成長率は+100%でした。

需要についてはレストランなどのフードサービスが3月以降に激減し、スーパーでの小売が増えました。

グロスマージンは38.8%(前年同期26.8%)でした。

今後グロスマージンは悪化すると会社側は予想しています。その理由は2つ。1つ目は、スーパーでの価格戦略を最近のプロテイン価格の上昇に鑑み、消費者にとって魅力的な価格設定にすることで新しい顧客を取り込むことを目指しているからです。2つ目に、フードサービス向けに準備していた簡易なパッケージングをスーパーでの販売に適したパッケージングにやり直す手間がかかるからです。

米国のマーケットシェアは拡大し、代替肉を扱うスーパーの数が前年同期比+59%と増えています。

また、同社は新型コロナウイルス対策のため、マンハッタンビーチの研究所のアクセスを制限しました。製造工場で新型コロナウイルスが発生しないよう予防措置も講じています。

マクドナルド・カナダでのテストは4月に終了しています。

同社は2020年のガイダンスを取り下げました。

ビヨンド・ミート(BYND)日足チャート
出所:トレードステーション

■ショッピファイ(SHOP) 良かった

 
ショッピファイ(ティッカーシンボル:SHOP)の第1四半期決算は良好でした。

サブスクリプション・ソリューションズは+34%の1.88億ドルでした。

マーチャント・ソリューションズは+57%の2.82億ドルでした。

GMVは+46%の174億ドルでした。

営業キャッシュフローは-8,496万ドル(前年同期2,434万ドル)となっています。

ショッピファイ(SHOP)日足チャート
出所:トレードステーション

■シェイク・シャック(SHAK) まちまちだった

シェイク・シャック(ティッカーシンボル:SHAK)の第1四半期決算はまちまちでした。

既存店売上比較は-12.8%でした。3月は-29%でした。

3月以降の週間既存店売上比較は次のとおり。

3月11日 -10%
3月18日 -46%
3月25日 -73%
4月1日 -72%
4月8日 -69%
4月15日 -64%
4月22日 -50%
4月29日 -45%

一方、売上高に占めるネット経由注文比率は次のとおり。

3月11日 18%
3月18日 29%
3月25日 64%
4月1日 71%
4月8日 75%
4月15日 81%
4月22日 83%
4月29日 84%

新型コロナウイルスの影響でビーフ価格が上昇しています。

シェイク・シャック(SHAK)日足チャート
出所:トレードステーション

■ウォルト・ディズニー(DIS) 悪かった

ウォルト・ディズニー(ティッカーシンボル:DIS)の第2四半期(3月期)決算は悪化しました。

Disney+のサブスクライバー数は3,350万人でした。ESPN+は790万人、Huluは3,210万人でした。

営業キャッシュフローは前年比-19%の31.57億ドル(前年同期39.15億ドル)でした。

フリー・キャッシュフローは前年比-30%の19.1億ドル(前年同期27.2億ドル)でした。

部門別売上高と成長率は次のとおり。

メディアネットワークス 72.57億ドル +28%
テーマパーク 55.4億ドル -10%
映画 25.39億ドル +18%
DTC 41.23億ドル

部門別営業利益と成長率は次のとおり。

メディアネットワークス 23.75億ドル +7%
テーマパーク 6.39億ドル -58%
映画 4.66億ドル -8%
DTC -8.12億ドル

テーマパークの従業員10万人は一時帰休中です。

ディズニーは四半期配当を中止しました。

上海ディズニーランドは来週からオープンしますが、当初は政府の指示で30%のキャパシティでオープン予定です。

ウォルト・ディズニー(DIS)日足チャート
出所:トレードステーション