【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 23,664.64  ▼218.45 (5/6)
NASDAQ: 8,854.39  △45.27 (5/6)

1.概況

昨日の米国市場は米雇用指標の大幅な悪化が重石となるなか高安まちまちとなりました。取引開始直後に171ドル高まで買われる場面もあったダウ平均ですが買いが続かずまもなくして下落に転じるとその後は前日終値を挟んで小幅に揉み合う展開となりました。しかし、引けにかけて売りが優勢になると結局218ドル安の23,664ドルで取引を終え3日ぶりに反落となっています。

また、S&P500株価指数も20ポイント安の2,848ポイントとなりました。一方でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は半導体株への買いなどを支えに45ポイント高の8,854ポイントとなり3日続伸となっています。

2.経済指標等

4月の米ADP全米雇用リポートで民間部門の雇用者数は2023万6000人減少し過去最大の減少幅となり市場予想を上回る悪化となりました。また、1日に発表された4月の米ISM製造業景況感指数は41.5と前月の49.1から低下し11年ぶりの低水準となりましたが市場予想は上回りました。また、5日発表の4月の米ISM非製造業景況感指数も41.8と前月の52.5から低下し節目の50を割り込みましたが市場予想を上回っています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が下げ、公益事業が3%を超える下落となったほか、エネルギーと金融も2%以上下げています。一方で情報技術と一般消費財・サービスの2業種が上げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は30銘柄中23銘柄が下げ、ダウ(DOW)が4%を超える下落となったほか、トラベラーズ(TRV)とアメリカン・エキスプレス(AXP)、シェブロン(CVX)も3%以上下落しています。一方でナイキ(NKE)とインテル(INTC)、アップル(AAPL)が1%以上上げています。

ダウ平均構成銘柄以外では、決算が市場予想を上回ったゼネラル・モーターズ(GM)が3月後半に停止した米国とカナダでの生産を再開すると発表したこともあって3%近く上げています。また、代替肉のビヨンド・ミート(BYND)が決算で最終損益が黒字に転換したことなどで急伸し26%高となっています。ニューヨーク・タイムズ(NYT)も決算で売上高や1株利益が市場予想を上回ったことで4%以上上げました。画像検索・共有サービスのピンタレスト(PINS)は決算で1株損失が市場予想よりも大きかったことで急落し15%近く下げています。

5.為替・金利等

昨日の長期金利は先月30日に比べ0.06%高い0.70%となっています。ドル円は107円近辺で推移していた先週末に比べ円高となり106円近辺で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

先週末にトランプ米大統領が新型コロナウイルスの感染拡大で中国を批判したことで米中関係が悪化するとの懸念から大幅続落となりダウ平均が622ドル安となった米国市場ですが、週明けに石油株やハイテク株への買いを支えに3日ぶりに反発しダウ平均が26ドル高になると、5日も米経済活動の再開や新型コロナウイルスのワクチン開発への期待から続伸しダウ平均は133ドル高となりました。そして昨日は高安まちまちとなりダウ平均は218ドル安となっています。この結果ダウ平均は4日間トータルで681ドル安となっています。こうしたなか本日の日本市場は下落してのスタートとなりそうで、日経平均は節目の19,500円を割り込みそうです。また、4月の財新中国非製造業PMIや4月の中国貿易統計が発表される予定で注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)