【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 24,345.72 ▼288.14 (4/30)
NASDAQ: 8,889.55 ▼25.16 (4/30)
1.概況
米国市場は景気の急速な悪化を示す米経済指標の発表が相次いだことで利益確定の売りが出て反落となりました。48ドル安でスタートしたダウ平均は380ドル安近くまで下落したあと一旦120ドル安程度まで持ち直しましたが、再び下げ幅を広げると昼過ぎに446ドル安まで売られました。その後下げ幅を縮めたダウ平均ですが結局288ドル安の24,345ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も25ポイント安の8,889ポイントとなっています。
2.経済指標等
先週一週間の米新規失業保険申請件数は383万9000件と前週の444万2000件から減少したものの市場予想ほどは改善しませんでした。3月の個人消費支出(PCE)も前月比7.5%減と市場予想を下回り過去最大の落ち込みとなりました。米個人所得も前月比2.0%減となりこちらも市場予想を下回っています。4月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)も35.4と前月から大きく低下し11年ぶりの低水準となり市場予想を下回りました。1-3月期の米雇用コスト指数は前月比0.8%上昇し市場予想を上回っています。なお、ECBは理事会で銀行に長期資金を貸し付ける条件を大幅に緩和することを決めました。しかし、マーケットが期待していた量的緩和の拡大については見送っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が下げ、素材が3%近く下落したほか、金融と公益事業、エネルギー、資本財・サービスも2%以上下げています。一方で一般消費財・サービスとコミュニケーション・サービスの2業種が上げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄中24銘柄が下げました。そのなかでもアメリカン・エキスプレス(AXP)が5%余り下落したほか、ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)とレイセオン・テクノロジーズ(RTX)、トラベラーズ(TRV)も4%以上下げています。一方でアップル(AAPL)が2%を超える上昇となり、決算で1株利益が市場予想を上回ったマイクロソフト(MSFT)も1%高となっています。ただ、アップルは取引終了後に決算を発表し売上高や1株利益が市場予想を上回ったものの、4-6月期の業績予想を発表しなかったことなどが嫌気され時間外で下げています。
ダウ平均構成銘柄以外では、フェイスブック(FB)が決算で売上高が市場予想を上回り目標株価の引き上げが相次いだことで5%以上上げました。ツイッター(TWTR)は決算で売上高が市場予想を上回ったものの、米国で外出制限が広がり始めた3月11日以降の広告収入が大きく減っていると公表したことで8%近く下げています。また、取引終了後に決算を発表したアマゾン・ドット・コム(AMZN)も決算で1株利益が市場予想を下回ったことから時間外で下げています。
5.為替・金利等
長期金利は0.02%高い0.64%となりました。ドル円は107円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が昨日に回復した20,000円の大台を維持できるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)