私は元々債券と金利のトレーダーでした。米国債、米国機関債、米国債券先物あたりから入って、先物オプション、債券オプション、米国モノに限らず日本モノも、そして金利スワップ、キャップ、フロア、スワップション、通貨スワップ、と進み、更には為替と債券を掛け合わせたものに対するオプション(クロスオプションなどと呼んでいました)、金利と株式のリターンの差に対するオプション、金利カーブの傾きに対するオプション(サイカーブオプションなどと呼んでいました)、などの変わり種を扱うようになり、更にはありとあらゆる資本市場にある数値(債券、金利、株式、為替など)の差と和とか掛けたモノ割ったモノのスワップやオプション、要はあらゆるデリバティブを扱うようになりました。世界中の取引所でも、ヘッジのために大量に売買するようになりました。そのあとに、証券化、不良債権購入とか、スペシャルシチュエーションなるビジネスの立ち上げをし、その後にマネックス証券を創ることになるのですが、私の仕事人、資本市場人、トレーダーの全ての礎は、債券トレーダーとして身に付けました。
株式も最高に面白いですが、債券や金利も人間臭くて面白いです。え?債券・金利が人間臭い?そうなんです。株式は企業そのもの、人生そのものを反映した鏡のようなものですが、債券・金利は中央銀行を始めとした人間的主体による人為的なものとして、色濃く人間臭さが出ます。株式は生き様、債券・金利は人の意思、とでもいいましょうか。
債券トレーダーは、マーケット(に限らず)で何かを見ると、先ずはその裏に隠れている理由を考えます。しかも屈折した裏筋を読む癖があります。私が未だにまさにそうです。株式型思考と債券型思考は、或る意味真逆で、その両方の眼鏡で世間を見ると、中々観察しがいがあります。新型コロナウイルス問題が始まってから債券の世界もとてもダイナミックです。マーケットは、広く全てを見るのが楽しいですね!