東京市場まとめ
1.概況
本日の日本市場は大幅上昇となりました。37円高で寄り付き先週末の終値を挟んで小幅にもみ合う展開でのスタートとなった日経平均ですがまもなくして買いが優勢になると上げ幅を大きく広げ節目の18,000円を上回って9時40分過ぎには599円高の18,419円まで買われました。その後上値が伸び悩むと10時50分に240円高近くまで弱含む場面もありましたが、後場に入って再び上げ幅を広げ14時半過ぎから一段高になると一時は852円高の18,672円まで買われました。結局、日経平均は756円高の18,576円で取引を終え続伸となっています。
こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数が4日ぶりに反発したほか、日経ジャスダック平均も6日ぶりの反発となりました。
2.個別銘柄等
安倍首相が緊急事態宣言を出す意向を固めたと伝わるなか外出自粛が強化されるとの見方から通信株や食品株の一角が買われました。外出自粛でテレワークが広がりデータ通信量が急増していると伝わったこともあってNTT(9432)が5.7%高、KDDI(9433)が5.8%高、ソフトバンク(9434)が7.0%高、NTTドコモ(9437)が6.8%高となりました。食品株では冷凍食品大手のニチレイ(2871)が4.3%となったほか、味の素(2802)が2.7%高、日本ハム(2282)が5.5%高となりました。
また、緊急経済対策の原案に新型コロナウイルスに対する治療効果が期待されている抗インフルエンザ薬「アビガン」の200万人分の備蓄確保が盛り込まれたと伝わったことで富士フイルムホールディングス(4901)が急伸し7.0%高となり上場来高値を付けました。アビガンの原料の生産を始めると発表したことで先週末にストップ高となったデンカ(4061)も引き続き買われ19.5%上昇し本日もストップ高となっています。
さらに小売り株の決算発表が本格化するなかで買われたのが自転車専門店のあさひ(3333)で良好な決算と見通しを発表したことで14.8%高となりました。業績予想は未定としたものの前期の営業利益が8割近い大幅な増益となったカジュアル衣料大手のアダストリア(2685)も17.1%高となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日本市場は安倍首相が新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため緊急事態宣言を出す意向を固めたと伝わりアク抜け感が出るなか、ニューヨーク州で新型コロナウイルスによる1日当たりの死者数が減少に転じたのを受け米株価指数先物が大きく上げたこともあって大幅上昇となりました。これにより先週続いた調整も一巡との見方も出てきそうです。こうしたなか今後は緊急事態宣言を受けて新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めかかるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)