今日で年度が終わります。この下半期は、文字通りジェットコースターに乗っているような半年間でした。半期の始まり、去年の10月1日、私はニューヨークにおりました。そしてアメリカのオンライン証券のトップと会って情報交換などをしていたら、まさに目の前で手数料のゼロ化が行われ、その後その対応や、グループ全体の改革に没頭していたら、後半は新型コロナウイルス問題で大騒ぎになり、今日を迎えました。会社を創業した半年とも似たような忙しさでした。

そして今目の前にあるのは新型コロナウイルス問題です。あまりこの件について話しすぎても辟易としてしまう面もありますし、分からないことだらけで仮説を書くのも若干憚られる面もあるのですが、ここ最近興味を持って注目してきた仮説があるので、忘れる前に一回書き留めておこうと思います。それは、BCGワクチンが新型コロナウイルスに対する免疫力を高めていて、それが日本での感染を遅らせたり重症者を減らしていると云う説です。

元々はScienceの3月23日の記事でした。その後3月26日に、Jun Satoさんが、色々調べてまとめられました(JSatoNotes)更に同日、我が国のゲノム研究の第一人者である西川伸一先生が代表をされているNPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパン(AASJ)の論文ウォッチでも本件はレビューされ、これは単なる偶然の一致でも、ガセネタでもないように私には思われるに至りました。

私は専門家ではないので、記述に間違いがあるかも知れませんが、要旨は、歴史上BCGの全員接種をしたことのない国はアメリカとカナダとイタリアで、アメリカとイタリアでは事態が深刻化している。かつては全員接種をしたが、数十年前にやめた国がヨーロッパ(除くポルトガル)とオーストラリアとニュージーランド。ポルトガルは死亡者数が少ない。その他の国では全員接種をしてきた訳ですが、BCGワクチンにもいくつか種類があり、ソビエト株、ブラジル株、そして日本株が有効な模様。イラクは日本株を使用していて、イランとは違い死者が圧倒的に少ない。ドイツはかつて、東独はソビエト株を、西独は改良されて弱くなった西欧株を接種していて、旧東独地域と旧西独地域で、後者の方が感染者が桁違いに多い。但しベルリンは、地域的には東独の中だが、西独の一部として西欧株を接種していたためか、西独同様に感染者比率が高い。因みに韓国と中国は日本株を使っておらず、北朝鮮が日本株を使用しています。

日本は、ご存知のように感染者数も死亡者数も、対人口比でとても少ないです。感染者数は、検査数が少ないからかも知れませんが、最終目的は死亡者数を抑えることにあるでしょうし、肺炎で亡くなる方は日本でも毎日300人程度いる筈ですが、ちゃんとCTスキャンは撮って、ウイルス性の疑いがあればPCR検査をしているとのことなので、死亡者数が少ないと云うのは事実だと思います。統計的と云うか、データから帰納法的に考えると、日本株BCGワクチンは、新型コロナウイルスに対して効いているように見えます。その考えられる理由が、西川伸一先生のAASJによると、「詳細は省くが、他の研究結果も総合して、BCGは直接IL-1βを誘導するが、これが血液幹細胞に作用してエピジェネティックスを再プログラムし、さらにIL-1βなど重要なサイトカインが出やすい体質に変え、これがウイルス抑制効果につながるというシナリオだ。」とのことです。要はBCGは、免疫システムを起動するスイッチを早く入れる効果があるようなのです。これは、科学的にも根拠がありそうです。

本件については、オランダやオーストラリアなどでも臨床試験を始めているとのこと(NHKのウェブサイト「豪 BCGワクチン 新型コロナウイルスに有効か臨床試験へ」)興味津々ですね。これで日本人が安心であるとは、決して云いません。とにかく気を付けて、色々と自制する必要があると思います。さはさりながら、科学的な興味もありますし、継続して注目していきたいと思います。