東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は167円安の1万8917円と続落しました。TOPIXやJPX日経400、東証2部指数なども下落した一方でマザーズ指数は上昇しました。日経平均の下落率は0.9%安にとどまった一方でTOPIXは2.3%安と大きく下落しました。前日の米国市場が上昇したことを受けて、日経平均は96円高の1万9181円と反発して寄り付きました。10時に発表された中国の3月製造業購買担当者景気指数(PMI)が好不況の分かれ目となる50を上回ったことを受けて251円高まで上昇した日経平均は、その後やや伸び悩むと148円高の1万9233円で前場を終えました。後場に入るとまもなくマイナスに転じた日経平均は、13時半過ぎに250円安まで下落して安値をつけるとその後持ち直す場面も見られましたが、引けにかけて再び下げ幅を広げて167円安の1万8917円で取引を終えました。東証1部の売買代金は3兆802億円でした。

東証33業種は鉱業と石油石炭製品を除く31業種が下落しました。中でも鉄鋼が5.8%下落したほか、銀行業や輸送用機器、水産・農林業が大幅に下落しています。

2.個別銘柄等

東証1部の売買代金上位銘柄は高安まちまちとなりました。売買代金トップのソフトバンクグループ(9984)が2.6%上昇したほか、任天堂(7974)やファーストリテイリング(9983)、富士フイルムホールディングス(4901)、東京エレクトロン(8035)が上昇しました。中でも任天堂は20日に発表した「あつまれ どうぶつの森」がゲオホールディングス(2681)子会社発表の新品ゲームソフトの売上ランキングで首位を獲得していることなどが好感されて10日続伸しています。また、富士フイルムホールディングスは子会社の富士フイルム富山化学が抗インフルエンザ薬「アビガン」による新型コロナウイルス治療の臨床試験を開始すると報じられたことを受けて、治療薬としての正式承認が期待されて買われ2.2%高となりました。一方でトヨタ自動車(7203)やソニー(6758)、三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、KDDI(9433)は下落しました。

その他材料が出たところでは、住宅ローン専門金融のアルヒ(7198)が16.1%上昇しました。アプラスフィナンシャル(8589)子会社との提携ローンで審査書類が改ざんされていた問題を受けて売られていましたが、本日アルヒの社内特別調査チームによる調査でフランチャイズ店舗の役職員が改ざんや偽造を指示したとする事実が見つからなかったとの調査結果を発表したことが好感されました。一方で衣料品チェーンのしまむら(8227)は9.1%下落しました。2021年2月期の通期業績予想や配当予想を未定としたことを受けて先行き不透明感が嫌気されました。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均の下げは比較的小幅にとどまりましたが、TOPIXは2%を超える大きな下げとなりました。中国の経済指標が大きく改善したことは好材料ですし、米国企業のジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)が新型コロナウイルスのワクチンの開発見通しを発表するなど徐々に良い材料が出てきています。ただし、相場の本格反発には欧米の感染者数の増加に歯止めがかかり経済活動の停止が終了することが必要になるとみられます。

(マネックス証券 マーケット・アナリスト 益嶋 裕)