世界の新型コロナウイルスの蔓延はとどまるところを知りません。毎日のように海外から自宅待機、厳しい入国制限、都市閉鎖といったニュースが入ってきます。
そんな中、対照的なのが日本国内です。先週末の3連休は街に繰りだす人も多く、平常時までは戻っていませんが、他の国に比べると平和で呑気な気分が広がっているように見えます。また、東京では桜の開花と重なったことや、お天気に恵まれたことで、人出が多くなった面もあると思います。
日本から始まった株価の反発
株式市場は、先週末まで米国株が下落を続けている中、日本株は3月24日から大きく反発。それを受けて世界の株式市場も一斉に反発しています。
また、国内では3月24日に東京オリンピックが延期されることが決まり、1年間の猶予ができたことで、弛緩したムードに拍車をかけているように見えます。
また、ネット上を見るといわゆるインフルエンサーと呼ばれる人たちの間でも、国内の新型コロナウイルス感染に関して、楽観的な意見が増えてきています。
「日本はガラパゴス」ではない
日本の新型コロナウイルスの感染者が少ないことや、他国とは異なり日常生活を保っていることを根拠に「日本は特別」という感覚を持つ人もいると思います。
しかし、グローバル化した世界経済の中、日本が現状のまま他の世界各国とは異なる「ガラパゴス化」し続けることは難しい。これは世界経済と日本の結びつきを考えれば当然のことです。
日本株の反発についても、様々な解説がなされていますが、株価を下支えしている要因の1つは日銀のETF購入です。
中央銀行による株式の買い支えは、短期的には相場を上昇させますが、本質的な株価の価値を上昇させるわけではなく、むしろ売り手にメリットを与えてしまうことになりかねません。
新型コロナウイルスに関しては「最悪を覚悟する」姿勢を
新型コロナウイルスの感染についても同様です。帰国者のホテルや自宅待機が要請される国からは、大量の駆け込み帰国者が入国してきています。そんな海外からの帰国者の増加、自粛ムードの鈍化による感染リスクの増大など、感染が広がるリスクはむしろ高まっていると考えるのが自然です。
「日本は特別」「コロナショック終わった」といった結論を出すのは、まだ早いと思います。指数関数的に爆発するリスクがある新型コロナウイルスは、あっという間に状況を変化させる特徴があり、数日後に国内の状況が急変しているかもしれません。
私は日本に広がる「ガラパゴス感覚」が心配です。新型コロナウイルスの感染もマーケット環境も、安易に最悪の状態は終わったと思わない方が良いでしょう。