2月の大幅調整後に期待される反発は持続するか?

2月の株式市場は大荒れの展開となり、日経平均は大幅な水準の訂正を強いられました。月間の下落幅は2,062円(下落率は8.9%)まで拡大し、月足では2018年12月以来の長い陰線(月初よりも月末の方が安い)を形成しました。

その結果、2012年10月安値を起点に、2016年安値を通る長期の上昇トレンドラインに到達しています。長期的な上昇局面の中では常に生じうる、短期的な調整だけで済むのかどうかが注視されます。

【図表】日経平均(月足)
出所:マネックス証券作成

値上がり銘柄の数と値下がり銘柄の数を比べ、売られ過ぎや買われ過ぎを判断する、東証1部の騰落レシオ(25日)も53.3%(2月28日現在)と、約4年ぶりの水準まで低下しました。いくらなんでも「売られ過ぎ」という水準です。そういった意味では、目先的には反発の可能性が高いと思われます。

ただ、その反発が一時的なものか、あるいは再び本格的な上昇基調に入っていくのかが、投資家にとっては重要な視点です。

反発が一時的で、近いうちに長期の上昇トレンドラインを割り込めば、長期的な見方にも黄色信号が灯ります。現時点ではどちらに判断するのも時期尚早ですが、短期的にも長期的にも3月の反転上昇は必須条件になるといえます。

今や「値ごろ感の買い」は危険な行為そのもの

しかし、今回の下落局面だけではないですが、いったん下げだすと少しの戻りも入れずに下げ続ける傾向があります。リーマン・ショック時のように裁定取引の解消による現物株売りが下げを加速した時代とは下げの質が違います。

先物市場では機械的・自動的売買が主流になっており、人間の判断は入る余地はない。下げるときはトコトン下を売ってくる、上げるときもトコトン上を買ってくる、トレンドフォロー型の仕組みのものが大半のような気がします。

それに向かって、このあたりだろうと買いを入れる(値ごろ感の買い)経験則を用いた行為は危険そのもので、買った後に下げ続ける相場に耐えられず、最終的には投げさせられます。

2月の大陰線を帳消しにする3月の大陽線に期待

さて、週明け3月2日の日経平均は6日ぶりの上昇となりました。2月28日、パウエルFRB議長は声明で、新型肺炎による経済活動へのリスクに言及し、「経済を支えるために適切に行動する」と発言。この発言を市場は早期利下げの可能性を示唆したと受け止めました。日銀も買いオペを実施し、日米の協調スタンスが好感されたもようです。

2月29日に発表された中国の2月製造業PMIは35.7と過去最低を記録。ただ、事前にリーマン・ショック直後の過去最低(38.8)を更新するとの見方もあったため、織り込み済みの雰囲気はありました。

日米の協調スタンスがあったからといって、新型肺炎の感染者を抑えることはできないと思うのですが、なぜ、週明けの日経平均は一時付けた安値20,834円から、高値21,593円まで759円も戻したのか。2月25日からの急落局面では長い陰線が3本確認できますが、それらを含めた日中の変動幅は昨日の陽線の上昇時が最も大きいことが分かります。

2月28日に形成した米国のNYダウ平均の長い下ヒゲを見た瞬間、今週の売り方はもう下は売れないと感じました。そう感じたのは、私だけではないはずです。

トレンドフォローの売買が上向きの判断にスイッチが切り変わったとすれば、状況によっては大きな戻りが発現する可能性も否定できません。3月は2月の大陰線を帳消しにするような大陽線に期待したいところです。