米ドル/円上昇は株高が手掛かり
米ドル/円は先週、年初来の高値を更新すると、一時112円台に乗せるなど一段高となりました。この中で、2015年から続いてきた長期三角保ち合いを上放れた可能性が出てきました(図表1参照)。
【図表1】米ドル/円の月足チャート(2015年~)
経験的には、長期保ち合い相場を上放れると、下がってもそれまでのトレンドラインを下回らず、基本的には保ち合いのスタート水準まで一段高に向かう可能性があります。それを今回に当てはめると、米ドル/円はもう110円も割らず、2015年6月に記録した125円に向かう見通しになります。
それにしても、この半年ほどの米ドル/円は米国株、NYダウなどと高い相関関係が続いてきました。その関係がこの先も変わらないなら、米ドル/円の上昇シナリオは、米国株などが手掛かりになるでしょう。
その米国株は、先週は上値の重い展開となりました。先々週にかけて最高値更新となったものの、NYダウでは3万円の大台が近付く中で、なお新型肺炎の影響などへの懸念も強いとされます。
ただその新型肺炎の震源地である中国では、上海総合指数は続伸し、先週までに旧正月中に「新型肺炎ショック」で開けたチャートの「窓」を大きく上回ってきました(図表2参照)。これを見る限り、株価は経済対策や株価対策を好感している面が依然として強いようです。
【図表2】過去3ヶ月の上海総合指数の日足チャート(2019年11月~)
この中国の株価のように、新型肺炎への懸念が続く中でも、株安に大きく向かわず、むしろ株高傾向が続くなら、米ドル/円もそんな株高をにらみながらさらに上値を模索する可能性が高いのではないでしょうか。