このレポートのまとめ
1.株価が売られたリフトだが、中身はウーバーより良い
2.ショッピファイは無難な決算だった
3.アプライド・マテリアルズの決算も良かった
4.ペプシコの決算は予想に一致した
5.シスコ・システムズの決算は良かった
6.アリババの決算は良かった
7.ロクの決算は良かったが修正EBITDAガイダンスが低かった
8.エヌビディアの決算は良かった
総括
リフトの決算は楽々事前予想を上回りました。しかし株価は決算発表の後に急落しました。その理由は、一足先に決算発表を済ませたウーバーが決算カンファレンスコールの中で「今年の第4四半期までにEBITDA(利払い税金償却前利益)で黒字化する!」と宣言したことで、「この調子ならリフトも黒字化が早まるか?」という期待が生じてしまったためです。
結果的にはリフトの経営陣は、EBITDA黒字化に関してはこれまでのガイダンス「2021年第4四半期に黒字転換」というスタンスを変更しませんでした。投資家はそれを嫌気したわけです。
しかし両者の決算をよく見てみると、ウーバーのEBITDA赤字は前期に比べて今期の方が赤字幅は拡大しており、本当に今年の第4四半期までにEBITDA黒字が達成できるという根拠は薄いです。
一方、リフトの方はEBITDA赤字幅が縮小しました。
すると中身の悪いウーバーの経営陣の言うことを額面通り受け取り、逆にEBITDA赤字幅をぐっと縮め、けじめをつけたリフトの株を売り叩くという投資家の行動は不可解です。
いずれにせよライドシェアリングの両社とも業績は上向きであり、未来は明るいです。
■リフト(LYFT) 良かった
ライドシェア企業であるリフト(ティッカーシンボル:LYFT)の第4四半期決算は予想を上回りました。
EBITDAは当初ガイダンス-1.7から-1.6億ドルに対し-1.31億ドルでした。
アクティブライダー数は+23%の2,290万人でした。
アクティブライダー当り売上高は+23%の44.4ドルでした。
コントリビューション・マージンは54.0%でした。前年同期は45.5%でした。
Non-GAAP営業費用の中で売上高に占めるセールス&マーケティング費用は18.4%でした。前年同期は32.6%でした。
修正EBITDAマージンは-12.9%でした。前年同期は-37.5%でした。
■ショッピファイ(SHOP) 良かった
世界最大級のショップカートサービスを展開するショッピファイ(ティッカーシンボル:SHOP)の第4四半期決算は予想を上回りました。
第4四半期のGMV(流通取引総額)は前年同期比+47%の206億ドルでした。
サブスクリプション売上高は前年同期比+37%の1.83億ドルでした。そのうち63%がコア・サブスクリプション、23%がショッピファイ・プラス、14%がアプリ・テーマ・ドメインフィーでした。
売上高に占める営業費用比率は48%でした。内訳はセールス&マーケティングが売上高の24%、R&Dが14%、G&Aが10%でした。
■アプライド・マテリアルズ(AMAT) 良かった
半導体製造装置を扱うアプライド・マテリアルズ(ティッカーシンボル:AMAT)の第1四半期(1月期)決算は予想を上回りました。
半導体製造装置売上高は28.14億ドルでした。前年同期は22.68億ドルでした。
グローバル・サービス売上高は9.97億ドルでした。前年同期は9.62億ドルでした。
ディスプレイ売上高は3.32億ドルでした。前年同期は5.07億ドルでした。
半導体製造装置売上高の内訳(前年同期)は:
ファウンドリ・ロジック 68%(44%)
DRAM 15%(21%)
フラッシュ 17%(35%)
でした。
グロスマージンは44.9%でした。前年同期は44.6%でした。
2018年の半導体前工程製造装置市場規模は560億ドルでした。2019年は493億ドルでした。そして2020年は567億ドルを見込んでいます。アプライド・マテリアルズは市場全体より速く成長すると考えています。
中国の2019年の半導体前工程製造装置市場は65億ドルでした。2020年は85億ドルから95億ドルを見込んでいます。
■ペプシコ(PEP) 予想に一致した
食品、スナック、飲料メーカーであるペプシコ(ティッカーシンボル:PEP)の第4四半期決算は予想に一致しました。
売上高とオルガニックな成長率は下記の通りです:
フリトレー北米 51.5億ドル +3%
クエーカー北米 7.72億ドル +0%
ペプシコ北米 62.6億ドル+3%
南米 25.4億ドル +6%
欧州 38.9億ドル +6%
アフリカ中東南アジア 11.2億ドル +8%
アジア太平洋オーストラリア中国 9.2億ドル +9%
営業利益は下記の通りです:
フリトレー北米 15.6億ドル
クエーカー北米 1.5億ドル
ペプシコ北米 4.6億ドル
南米 3.6億ドル
欧州 4.2億ドル
アフリカ中東南アジア 1.2億ドル
アジア太平洋オーストラリア中国 8,900万ドル
売上高に占める中国比率は2%以下なので新型コロナウイルスの影響は限定的です。
■シスコ・システムズ(CSCO) 良かった
ネットワーク機器メーカーであるシスコ・システムズ(ティッカーシンボル:CSCO)の第2四半期(1月期)決算は予想を上回りました。
顧客が意思決定するまでに要する時間は長くなっています。セキュリティー関連の売上高は好調でした。
■アリババ(BABA) 良かった
中国最大のオンラインマーケットプレイスであるアリババ(ティッカーシンボル:BABA)の第3四半期決算(12月期)は良かったです。
アニュアル・アクティブ・カスタマーは7.1億人で、前期より1,800万人増えました。
モバイルMAUは8.24億人でした。前期より3,900万人増えました。
営業利益は前年比+48%の395.6億人民元(56.8億ドル)でした。修正EBITDAは前年比+37%の558.8億人民元(80.3億ドル)でした。
営業キャッシュフローは965億人民元(138.6億ドル)でした。フリー・キャッシュフローは782.8億人民元(112.4億ドル)でした。
売上高の内訳ならびに前年比成長率は以下の通り:
コマース 144.8億人民元 +38%
クラウド・コンピューティング 107.2億人民元 +62%
デジタルメディア・エンターティメント 74億人民元 +14%
イノベーション・イニシアチブ 18.6億人民元 +40%
営業利益に占める費用比率は51%でした。前年同期は50%でした。
修正EBITDAならびに修正EBITDAマージンは以下の通り:
コマース 580.8億人民元 41%
クラウド・コンピューティング -3.56億人民元 -3%
デジタルメディア・エンターティメント -33億人民元 -45%
イノベーション・イニシアチブ -18.7億人民元 -100%
■ロク(ROKU) 良かった
テレビ向けストリーミングプラットフォームを運営するロク(ティッカーシンボル:ROKU)の第4四半期決算は良かったですが修正EBITDAガイダンスが低かったです。
グロスマージンは39.3%でした。
アクティブ口座数は+36.1%の3,690万口座でした。
平均顧客単価(ARPU)は+29%の23.14ドルでした。
ストリーミング時間は+60%の117億時間でした。
フラットフォーム売上高は+71.5%の2.6億ドルでした。グロスマージンは62.5%でした。
プレーヤー売上高は+22%の1.52億ドルでした。グロスマージンは-0.5%でした。
修正EBITDAはガイダンス700万ドル~1,200万ドルに対し1,510万ドルでした。
■エヌビディア(NVDA) 良かった
グラフィックス用半導体大手であるエヌビディア(ティッカーシンボル:NVDA)の第4四半期(1月期)決算は予想を上回りました。
グロスマージンは65.4%でした。前年同期は56.0%でした。