前回は、資産運用のリターンには「収益の源泉」があり、それを考えることが大切だという話をしました。そしてその収益の源泉には「成長」「歪み」「希少性」の3つがあると説明しました。
今回は収益の源泉が得られる投資対象をその分類ごとに具体的に紹介しようと思います。
「成長」はインデックス運用を行う株式投信から得られる
まず「成長」からの恩恵を得るためには、株式投資が最も適しています。
経済成長と株式のリターンは短期的には完全には相関しません。しかし、長期で見れば、経済成長の高い国で株式投資をすれば、長期的に高いリターンが実現できます。
なぜなら、株式の価値とはその会社の将来の企業利益によって決定されます。経済成長している国にある企業は、事業の利益も伸びていく可能性が高く、企業価値を高めることにつながるのです。
この成長からのリターンを享受するのに最適な投資対象は、インデックスファンドです。特定の企業の成長ではなく、市場全体の平均的な成長を投資のリターンに結びつけることができます。
「歪み」が得られるのは市場の効率性が低い不動産など実物資産から
2つ目の「歪み」は、金融資産よりも実物資産によって得られます。なぜなら、実物資産マーケットは、情報の効率性が低いからです。情報の効率性が低いというのは、マーケットの参加者の一部だけが、特別な情報を知っている状態のことです。知っている人は知らない人を出し抜くことで、情報の歪みから超過収益を実現できます。
例えば、実物資産の代表である不動産は、身内の仲間だけが持っている「インナーサークル情報」にアクセスできれば、市場に出回っていない割安な物件を購入できることがあります。金融資産でこのようなことがあれば、インサイダー取引で犯罪行為になってしまいます。
「希少性」は供給が増えないラグジュアリーグッズで狙える
3つ目の「希少性」は、供給が限られている実物資産で得ることができます。
典型的なのが、ラグジュアリーグッズと呼ばれる高級ワイン、ヴィンテージカー、現代アート、アンティークコイン、ヴィンテージバイオリンといった投資対象です。
これらは、過去に生産されたものの今後の供給が増えることはなく、古いものは数が少なくなることから希少性が高まります。また、富裕層を中心に需要が高まっており、需給関係から価格が上がっていくのです。
ただし、株式や不動産のように、配当や家賃収入といったインカムはなく、いつになるかわからない値上がりを待つ投資になります。
投資で大切なのは、これら3つの「収益の源泉」からのリターンをバランスよく享受できるように、資産配分(アセットアロケーション)を考えていくことです。
私はアセットアロケーションの重要性をいつも強調していますが、金融資産と実物資産の組み合わせによって、より高いレベルでの資産運用が実現できるでしょう。