昨年5月以来の110円台乗せ

米ドル/円は先週も堅調に推移し110円の大台を超えてきました。終値で110円を上回ったのは昨年5月以来になります。

ところで、1月17日の「為替デイリー」(1月半ば「異例の米ドル高」は前兆なのか!?)でも紹介したように、1月は過去10年間で7回米ドル陰線(米ドル安)引けとなるなど、基本的には米ドル/円は下落しやすい傾向があるようです。その中で、今回のように月半ばが過ぎたところで、米ドル高傾向で推移したのは、「アベノミクス円安」のスタートとなった2013年以来のことです。

「アベノミクス円安」とは、2012年12月の安倍政権誕生を受けて、大胆な金融緩和などをきっかけに70円台後半から2015年には125円まで記録的な米ドル高・円安が進んだ相場でした。上述の2013年は、その初期段階に相当しますから、米ドル買い・円売りエネルギーが相当強かったと想像されます。

今年の1月は、半月が過ぎたところでそんな2013年以来の米ドル高での展開となっているわけですから、大幅な米ドル高・円安の始まりの可能性なのか注目されるところではないでしょうか。

ところで、1月は米ドル安になりやすいということとともに、これまでも何度か紹介してきたように、米ドル/円の値幅が拡大するという傾向もあります。米ドル/円の1月値幅は過去4年連続で5円以上となりました。今年も5円程度に値幅が拡大するとして、それがここまでの流れを受けて米ドル高方向になるなら、月末には112円を上回る計算になります。

果たしてそんなふうに、「米ドル安になりやすい1月」に、「異例の米ドル高」が続くことになるのか。その鍵は、株の動向が握っているのではないでしょうか。イランの対米報復を受けて107円台まで急落した米ドル/円でしたが、その後110円まで反発したのは、株高、リスクオンに連れた面が大きかったでしょう。その意味では、米ドル反発が続くかは、株高が続くかという点が一番重要ではないでしょうか。

その株で少し気になるのは、特に米国株は昨年12月初めから、大きく下落することなく、ほぼ一本調子で上昇基調が続いてきたので、そろそろ「息切れ」する可能性はないかという点です。「異例の1月米ドル高」がこのまま続くかは、そんな株高の動きをにらみながらということではないでしょうか。