米ドル安になりやすい1月の「異例」
米ドル/円は1月下落しやいとされる。その意味では、半月過ぎたところで前月末より上昇して推移している今年は「異例」といえる。
ところで、同じように半月過ぎたところで「異例」の米ドル高となっていたのが2013年だった(図表参照)。この2013年の1月は、結局大幅な米ドル高となった。そして「年足」(当年末終値‐前年末終値)も過去10年間で最大の米ドル高となった。この2013年は、振り返ると「アベノミクス円安」のスタートとされる年だったわけだ。
さて、昨年末終値108.647円と比べて、今年1月15日終値は109.906円と米ドル高となった。こんなふうに1月半ばが過ぎたところで、前月末より米ドル高での推移となったのは、上述の2013年以来という「異例」だ。これは、2013年が大幅な米ドル高・円安となったように、今年も大幅な米ドル高・円安となる「前兆」だろうか。
最初にも述べたように、1月は米ドル安・円高になりやすいとして知られてきた。たとえば過去10年間の1月の米ドル/円の月足(1月末終値‐前月末終値)は7回が陰線(米ドル安)だった。また、3回の陽線(米ドル高)の中でも2011、2016年は小幅の陽線で、ほとんど横ばいといった感じだった。
その中で、唯一異例の大幅な「陽線」となったのが上述のように2013年で、それは結果的にはその年を通じて大幅な米ドル高・円安が広がる「前兆」でもあった。
1月に米ドル安になりやすい理由として、新年が始まり、米国の投資家が外国への投資でリスクテイクを強めることから米ドル売りで入る影響などが指摘される。確かに、過去5年連続で1月は半月が過ぎたところですでに米ドルは下落しており、それは2016、2019年を除くと、月末にかけて一段と広がっていった。米国投資家が為替リスクをとって米ドル売りを拡大した影響と考えられなくない。
逆にいうと、米国投資家が為替リスクをとり、米ドル売りを拡大させる中でも、1月早々に米ドル高になるということは、米ドル買いのポテンシャルの強さととれなくもないが、果たしてどうだろうか?