投機筋の売買転換点

年明け早々、米ドル/円は急落した。米国とイランの関係緊迫化への警戒から、リスクオフが急拡大した影響が大きいだろう。では米ドル/円の下落は一段と広がるだろうか。108円という水準は、重要な分岐点かもしれない

108円は、足元で120日MA(移動平均線)の位置する水準だ(図表1参照)。過去2回、米ドル/円が120日MAをブレークしたのは、2019年10月半ばと2019年5月初めだ。前者は米ドル高方向へのブレーク、後者は米ドル安方向へのブレークだった。

【図表1】米ドル/円と120日MA(2019年1月~)
出所:マネックス証券ヒストリカル・データをもとに作成

これを、CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションと比較してみると、2019年10月半ばは買い越し(米ドル売り・円買い)から売り越し(米ドル買い・円売り)に転換したタイミングであり、2019年5月初めは、売り越し(米ドル買い・円売り)拡大が一巡し縮小に転換したタイミングだった(図表2参照)。

【図表2】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2019年1月~)
出所:マネックス証券ヒストリカル・データをもとに作成

以上のように見ると、120日MAのブレークは、投機筋の売買転換点と基本的に一致してきたことがわかる。米ドル高方向へのブレークは米ドル買いの本格化、米ドル安方向へのブレークは米ドル売り本格化への転換点だった。

そんな120日MAが、上述のように足元では108円程度。以上のように見ると、年明け以降の米ドル売りが一段と本格化するか否かは、108円が1つの分岐点といえるのではないか。