先週末のNY市場が「米中合意」のニュースで上がらなかったことで、週明けの東京市場は先週末の大幅高の反動もあって利益確定売りに押されてのスタートとなりそうだ。しかし、先週金曜日にNY株が上がらなかったのは、朝方トランプ大統領がWSJの報道を否定するようなコメントをしたため、出鼻をくじかれ、そのまま消化不良となったせいもある。また、前日に米中合意近しとの機運が盛り上がり、すでに大きく上げていたこともある。

今回の米中合意はまだ完全には相場に織り込まれていない。例えば、米中対立の緊張が緩和することで、これまで様子見姿勢だった企業の設備投資、発注、生産などが動き出す効果を見込んで、アナリストが業績の見通しを修正するのはこれからだ。リスクオンで為替が円安に動いているが、それも業績の上方修正要因になる。そうした要素を見ないで、PERが14倍台で割高という声があるが、愚の骨頂だろう。そもそもゼロ金利の国のPERが14倍=益利回り7%=リスクプレミアム7%の、どこが割高なのか。

OECDの世界景気先行指数が上向くなど、世界景気底入れの兆しがそろってきた。このタイミングで米国の対中関税が見送られ、日本政府は巨額の財政支出による経済対策を決めた。循環論から言っても来年の景気回復の蓋然性は極めて高く、株を売るという状況にはとてもない。

市場がずっと気に懸け注目してきた米中貿易協議がとりあえず一旦は決着したことで材料出尽くしとなる可能性はある。しかし、上述の通り株を売る材料にも乏しく、大幅上昇の反動や利益確定売りに押される場面はあっても、基調は上向きだろう。下げた場面はすかさず押し目買いが入るだろう。ここから年末まで、押し目待ちに押し目なしの展開になると思う。

今週のイベントは日銀の金融政策決定会合があるにはあるが、現状維持が見込まれほとんど材料にならないだろう。

今週は昨年10月の高値を意識しながら2万4000円台を固める展開か。今週の予想レンジは2万3800円~2万4300円とする。