REITと現物不動産のメリット・デメリット
前回はREITと現物不動産を比較して、それぞれのメリット・デメリットをまとめてみました。
マネックス証券をはじめとする証券会社で取り扱っているREITは、少額で投資ができ、1つのファンドで複数の物件に分散されて、リスク分散効果に優れています。また、上場しているので株式のような流動性もあり、市場価格がいつでもリアルタイムに知ることができるという価格の透明性があります。
一方の現物不動産は、上記のようなREITのメリットはありませんが、物件を担保にお金を借りてレバレッジを効かせることで少ない自己資金で投資ができます。また、賃貸利回りを比較しても、REITよりも高くなることが多く収益性でも優れているといえます。
さらに、相続時には、路線価と固定資産税評価額で課税対象額が計算されるので、節税になることが多いというメリットを指摘しました。
REITから始めて現物不動産にも対象を拡げる方法も
私自身の不動産投資は、以前は複数のREIT銘柄を保有していましたが、今はREITのような金融商品よりも、都心のワンルームマンションや一棟ものの現物不動産を投資対象としています。
不動産を対象とする資産運用は、このようにREITから始めてみて、現物不動産にも投資対象を広げていくのが自然です。
現物不動産に投資対象を広げていったその理由は、私の場合「レバレッジ」と「歪み」です。
前述の通り、現物不動産には借入によってレバレッジをかけられるという特徴があります。不動産の賃貸利回りと借入金利の「金利差」から収益を得られます。
ただし、この方法が使えるのは金融機関からの信用が得られ、「お金を借りる力」を持っている人だけです。これは「自分の信用をマネタイズする」と考えることができます。
また、現物不動産は価格が不透明で価格に「歪み」があります。これはデメリットのようにも思えますが、価格が見えにくいということは、割安で購入できたり、割高なのに売却できたりする超過収益を得る機会が大きいことを意味します。
どちらの投資対象にもメリット・デメリットがありますから、どちらが良いと単純に決めつけることはできません。投資初心者や、現状はお金を借りる力が無い人には、REITへの投資が向いています。2つの違いを理解したうえで、自分にあった投資対象を納得して商品選択することです。
今はREITと現物不動産を比較検討し購入できるインフラが存在しない
問題は、このように金融資産と実物資産の両方を販売し、比較検討する機会を与えてくれる会社が存在しないことです。
現物不動産は不動産会社が取り扱っていますし、REITは証券会社でしか買えません。
金融商品のREITだけ、あるいは実物資産の現物不動産だけ、という狭い枠で投資対象を探すのではなく、広く投資対象を俯瞰(ふかん)して、自分に合ったものを組み合わせていく。そんな投資方法がもっと広がれば、日本人の資産運用もさらに進化すると思います。
いつか、マネックス証券が現物不動産へのアクセスの機会や情報提供も開始し、2つの投資対象を比較できるプラットフォームになることを密かに期待しています。