12月の為替を予想する

11月の米ドル/円の値幅は1.788円となり、4月(1.595円)、7月(1.789円)に続き、今年3度目の2円未満にとどまりました(図表1参照)。こういった中で、今年の年間値幅も、11月が終わったところで7.94円にとどまり、このままでは年間最小値幅の記録を更新することになります。

【図表1】米ドル/円の月足チャート(2015年1月~2019年11月)
出所:マネックス・トレーダーFX

ただ、12月の米ドル/円は、これまでの実績を見る限り必ずしも小動きということではありませんでした。後半に入ると、実質的にクリスマス休暇入りとなり、基本的には薄商いで小動きとなるものの、特に年内最後のFOMC(米連邦公開市場委員会)などをきっかけに値動きが拡大することが少なくありませんでした。

ちなみに昨年までの6年間の12月米ドル/円値幅は2.36~6.28円と3円未満は1回だけ、平均値幅は4.37円でした。また、昨年も12月の米ドル/円値幅は4.27円となり、まさに12月の平均並みの値幅となりました。では、今年も12月に値幅が拡大し、年間値幅も拡大することになるのか。

今年の米ドル/円の1日平均値幅は0.6円程度ですが、それを大きく上回る1円以上の値幅となったのは15営業日ありました。これを曜日別にみると、金曜日が5回、水曜日が4回でした。また、値幅拡大のきっかけとなったのは、米中貿易交渉関連の材料、そしてFOMC関連の材料が目立ちました。

以上のように見ると、今週金曜日(12月6日)の米雇用統計発表日、そして来週水曜日(12月11日)のFOMC、さらに12月15日の第4次対中制裁関税発動期限前などが、年内最後の一波乱が起こる可能性のある、いわば「大相場の候補日」として注目されるところでしょう。

そしてもう1つの観点が、株急落があるかということ。今年の月間値幅が3円以上に拡大したのは、1月(4.818円)、5月(3.444円)、8月(4.855円)でしたが、全て株急落が印象的な月でした。今年の米ドル/円は、株急落局面でボラティリティー(変動率)が上昇し、株高局面ではボラティリティーが低下する傾向が続いてきました。

以上をまとめると、この12月に米ドル/円の年内最後の一波乱が起こるかは、FOMCや米中貿易交渉などをきっかけに株急落が起こるかが1つの目安となるのではないでしょうか。