7月下旬からスタートした3月決算銘柄の第1四半期決算も8月中旬で終了となりましたが、それから2カ月程度が経過したこともあって決算発表終盤で決算を発表した銘柄でもアナリストによる業績や目標株価の見直しが一通り終わったと思われます。そこで今回は8月9日以降に決算を発表したTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に決算発表後に2社以上が目標株価を引き上げたもの(足元の株価を上回るもののみ対象)をピックアップしてみました。
そのなかでも目標株価の引き上げが目立つのがリクルートホールディングス(6098)で、第1四半期の営業利益が前年同期比で5%増と堅調だったこともあって決算発表後に5社が目標株価を引き上げています。また、第1四半期の営業利益は大幅な減益だったもののSMC(6273)でも5社が目標株価を引き上げています。さらに光通信(9435)でも4社が目標株価を引き上げたほか、エア・ウォーター(4088)でも決算発表後に2社が目標株価を引き上げています。
8月9日以降に決算を発表した企業で目標株価の引き上げがみられる銘柄はこちらからチェック(PDF)
決算メモ
セブン&アイ・ホールディングス(3382)‐上期決算とともに構造改革を発表‐
セブン&アイ・ホールディングスが10日に発表した2020年2月期の上期決算は売上高に当たる営業収益が前年同期比0.9%減の3兆3132億円、営業利益が同2.8%増の2051億円となりました。営業収益は計画(3兆3370億円)に届かなかったものの、国内外のコンビニ事業の貢献で営業利益は計画(2046億円)をわずかに上回り最高益を更新しています。そしてこうした上期決算を受けて通期の営業収益の見通しは6兆7410億円から6兆6880億円へと下方修正されましたが、営業利益は4200億円で据え置きとなっています。
セブン&アイ・ホールディングスでは上期決算にあわせてイトーヨーカ堂とそごう・西武、セブンイレブン・ジャパンの構造改革を発表しています。イトーヨーカ堂では33の不採算店の外部連携や閉店、1700人の配置転換・転進支援などを行う予定です。また、そごう・西武では地方5店舗の閉店に加え2店舗で売り場面積を縮小し、1300人の転進支援や社外出向、社内配置転換などを進める計画です。さらにセブンイレブン・ジャパンでは不採算の1000店の閉店とS&Bを実施するほか、加盟店が本部に支払うロイヤルティーを引き下げるなどとしています。
なお、ロイヤルティーの引き下げでセブンイレブン・ジャパンの本部利益は年間で100億円減る見込みです。これを不採算店の閉店加速や本部人員の適正化、売り場の新レイアウト展開でカバーし利益水準の維持・向上を目指すとしています。また、ロイヤルティーの引き下げで加盟店のモチベーションが向上し既存店売上高が1%上昇すれば本部利益が80億円増えるとも説明しています。100億円の減益をカバーできるかがポイントとなりそうです。