消費税増税まで、1ヶ月を切りました。軽減税率とキャッシュレスによるポイント還元等が複雑な印象を与える今回の増税は、テレビ番組内でも特集が組まれたりし、注目度が上がっています。

この増税を生活に影響させない、良い方法はないでしょうか。

消費税増税で家計の負担はいくら増える?

消費税が2%あがることで、家計はどの程度の負担を強いられるのでしょうか。

家計の中で消費税が関係する支出は、1ヶ月の生活費の2/3ほどです。1/3には消費税がかかりません。毎月の支出には家賃、生命保険料、医療費、学校授業料や給食費などがありますよね。これらには消費税がかからないのです。

ですから、単純に考えると今消費税がかかっている2/3の支出が2%分増えることとなります。毎月の生活費が30万円のご家庭では、4,000円です。今回は飲食料品や定期購読の新聞代は軽減税率が適用され税率が据え置かれるため、負担増となる金額はもっと少なく済むでしょう。生活の仕方によっては、3,000円程度で済む場合もあるでしょう。

この負担増の予想金額は、収入や使う生活費の額により個々に異なりますが、イメージとしてはこのようになります。もしかすると飲み会を1回、もしくは洋服の購入を1枚我慢することで、どうにかできてしまうような金額です。この「我慢」でどうにかするのがイヤだなと思う方には、他にも増税分をカバーできる良策があります。

今話題のiDeCoで節税すると増税分は簡単に取り戻せる

iDeCo(個人型確定拠出年金)をご存知でしょうか。国も随分と勧めていますし、どういうものかわからなくても聞いたことがある、または運用まではしていないけど口座の開設はしたという人は多いかもしれません。

iDeCoは、確定拠出年金法に基づいて実施されている税優遇の利いた私的年金の制度です。掛金は全額所得控除、運用益は非課税、受け取り時も税控除がされ、自分で年金を作っていくことができる制度です。

今のところは掛金を積み立てられるのは60歳まで、受け取りの開始は60歳以上から70歳までとなっており、所定の年齢になるまでお金が自由に使えないところが不自由な点ですが、しっかりと老後資金が作れるのでお勧めしたい制度の1つです。

掛金が全額所得控除されるという点は節税効果が非常に大きく、掛金の15%ないし20%、30%の税金が安くなります。この割合は、住民税は一律10%前後に、収入により変わる所得税率を足したものです。

もし、年収から控除できるものを控除した後に出る課税所得が250万円ほどの人の場合、所得税率は10%。住民税は10%なので、合計20%分の掛金が戻ってくるのです。

もしサラリーマンの上限、2万3000円を毎月積み立てていったとしたら、1年間で27万6000円です。その20%である5万5200円分の税金が還元または安くなるのです。

先ほど、消費税は1ヶ月に4,000円ほどの負担増といいましたが、その12ヶ月分は4万8000円。iDeCoだけでも十分に増税分を取り戻せる、ということになりますね。

iDeCoの拠出金は固定費になるので慎重に

とはいっても、誰にでも「やったほうがいいですよ」と言えるものではありません。毎月の収支がぎりぎりなのに、無理やりiDeCoでお金を積み立てていくことになると、家計は赤字で「生活苦」を感じるかもしれません。また、貯蓄を切り崩し、本末転倒な結果になるかもしれません。それでは意味がないですね。

もし、iDeCoで増税分をカバーしたいと思うのであれば、まず、家計の支出を見直し、iDeCoの掛金分を毎月支払っても、黒字である家計づくりをすることが必要です。そうでなければiDeCoのためにお金を工面することになり、いつもお金がない感じがして心にゆとりがなくなり、苦しく感じてしまうかもしれません。

そうならないためにも今の自分の支出状況を把握し、無駄を見つけて省いていくということがとても大切になります。

「年間4万8000円増税になる分をiDeCoで5万5000円節税してカバーすることもできる」

これは一例ですが、iDeCoにより、多くの人が増税分を多かれ少なかれカバーすることができます。そのためには家計を整えることが重要ですが、このように考えて自分で取り組んでいけば老後資金の準備もでき、とても良い取り組みになると思います。

毎年の節税分は、年末調整で戻ったり、翌年の手取りが増えたりするので、つい使ってしまう人が多いもの。それを消費税増税対策に活用するということも、良いと思うのです。