トランプ「中国や欧州の為替操作に対抗すべき」

先週末7月26日に発表された第2四半期の米実質国内総生産(GDP)は、事前の予想(前回の前期比年率3.1%増から同1.8%増程度に鈍化)を上回る同2.1%増となった。ことに個人消費が4.3%増と力強く回復してきている点は特筆すべきと思われ、全体の伸びは鈍化したものの、市場には比較的強めの印象をもたらした。

前回のコラム「G20サミット無事通過で、次は7月のFOMCへ」でも触れたように、この1ヶ月ほどの間に発表された米経済指標は概ね強いものが目立った。そして、今回の米GDPも金融政策当局に対して直ちに大幅な利下げを実施するよう求めるような内容ではなかった。

貿易戦争やイラン情勢などへの懸念はあるものの、現時点において利下げの実施を正当化するのも少々無理があると個人的には考える。むろん、たとえ「予防的な」というただし書きが付いたとしても…。

もっとも、ドルの「独り勝ち」状態があまり長く続くと、おのずと米政権側から不満の声が挙がるのも致し方ないことではある。実際、先週は米ウォール街の一部で「米政権による為替介入の可能性」が取り沙汰されたりもした。きっかけは、例によってトランプ大統領が「中国やユーロ圏は為替操作ゲームをしている」「われわれも『対抗』すべき」などとツイートしたことにあるという。

【図表1】トランプ大統領のツイッター投稿(7月3日)
出所:Twitter

市場の憶測にホワイトハウスが火消しに回る

ただ、先週7月26日に米メディアが伝えたところによれば「ナバロ米大統領補佐官が、7月23日に米中貿易交渉を有利に展開することなどを目的としたドル切り下げを提案したが、トランプ米大統領らはそれを却下した」とのこと。

さらに同日、ホワイトハウスのクドロー国家経済会議(NEC)委員長も「米政権は為替介入を排除した」と発言し、トランプ米大統領がドルを弱くしたいと考えているとの見方を否定した。

要は、トランプ氏のツイートが市場に無用な憶測を生じさせたことから、ホワイトハウスが慌てて火消しに回ったということ。それもそのはず、米財務省はこれまでに半期に一度の「為替報告書」を通じて日本や中国、欧州など他の国や地域の為替操作を監視してきた。

そんな米国自らが介入に動くとなれば、他の国や地域を批判する根拠も立場も失ってしまう。まして、米政権が介入に使える資金は自ずと限られると見られるし、そもそも介入の効果を長期的に持続させることは非常に難しい。

それでも、依然トランプ氏の心中は決して穏やかでないだろう。そんな米大統領を「必要以上に刺激しない」という配慮が、先週7月25日に行われたECB理事会後の記者会見におけるドラギ総裁発言に滲んでいたと見る向きは、どうやら少なくないようである。

周知のとおり、ドラギ総裁は会見で「将来の具体的な緩和策については、今回の理事会で議論しなかった」という旨の発言を繰り返した。その結果、かなりハト派に傾いていた理事会声明の内容を受けて一旦は強い売り圧力に押されたユーロが、ドラギ発言によって一気に買い戻され、上値を試す展開に急転することとなった。

ここで、ドラギ総裁は刺激すると面倒な相手であるトランプ氏にある程度の配慮を示した。つまり、それは「先の会見で受けた印象ほどドラギ氏はタカ派寄りではない」ということでもあろう。

米ドル/円は再び109円台乗せトライの可能性

今週は、何をおいても米連邦公開市場委員会(FOMC)が一番の注目となるが、すでに市場の見方は0.25%の利下げでほぼ一致している。注目は今後の追加利下げの可能性にどこまで踏み込んでくるかであるが、普通に考えれば「正直、踏み込みにくい」。さすがに「年内あと2回」を想定するのはキツイだろう。あとは、それを市場がどう都合よく捉えるか、どう仕掛けるかである。

少なくとも言えることは、依然としてユーロの戻りは限られるということであり、戦略としては「戻り売りが基本」となる。場合によっては、いよいよ1.1100ドル処をクリアに下抜け、ほどなく1.1000ドルを試す可能性もあると見られる。

結果、なおも「ドルの独り勝ち」は続き、先週21日移動平均線をクリアに上抜けた米ドル/円も再び109円台乗せにトライする可能性が高いと見る。足下では、ついに一目均衡表の日足「雲」の中に潜り込んできており、当面のわかりやすい上値の目安は日足「雲」の上限水準(現在は109.72円)ということになろう。

【図表2】米ドル/円(日足)
出所:マネックス証券作成