ファーウェイ制裁解除、東証1部の売買代金上昇率にも影響

米中首脳会談では貿易協議の再開が決まり、トランプ米大統領は中国への関税第4弾の発動を見送り、中国ファーウェイの制裁緩和にも言及しました。交渉の期限など具体的内容に乏しいものの、最悪のシナリオは回避されました。

また、トランプ米大統領が朝鮮半島の南北の軍事境界線に位置する板門店で、北朝鮮の金正恩委員長と予定外の会談を行い、地政学リスクが幾分和らぐ格好になっています。

7月1日の東証1部の売買代金の上位で上昇率が高い銘柄をみると、村田製作所、太陽誘電、東京エレクトロン、TDKなどとなっており、やはりファーウェイの制裁緩和が最もサプライズだったようです。

米ドル/円、テクニカル好転に向け強い経済指標が出るか

さて、米国とイランの軍事衝突という悪化リスクはありますが、短期的には米景気認識を通じた米長期金利(米10年債利回り)の動向、利下げ見通しに焦点が移りそうです。米経済指標では、6月ISM製造業景況指数、6月ADP全米雇用報告、6月ISM非製造業景況指数、6月雇用統計など注目度の高い指標の発表が多く、指標結果を受けた利下げ見通しの変化が注目材料となります。

日本株にとっては、米国の良好な指標結果によって米金利高となりドル高・円安につながった方が、日経平均が先物主導で上値を試す口実になりやすいのです。

米ドル/円相場は、今年の正月休みが終わろうとするタイミングで起きたフラッシュ・クラッシュ時に瞬間的に1ドル=105円を割り込む場面がありました。実は、今週はその時の安値から26週が経過し、週足の一目均衡表では基準線がいったん上昇する、好転のタイミングになります。

【図表1】米ドル/円(週足)
出所:マネックス証券作成

直近安値は106.77円でした。2016年以降で何度か下値固めをしてきた水準になるため、下値サポートにして反発に転じられるかが注目ポイントとなります。こういったテクニカル面でのポジティブな状況に合わせて、強い経済指標が出てくるかどうかを見ていきたいところです。

日経平均、買いのタイミングを7月前半にするか慎重に見極めを

一方、日経平均の6月の月足ローソク足は2ヶ月ぶりに「陽線(始値よりも終値が高い)」となりました。前半は米国株安や円高進行を受けてリスクオフムードが強まる展開となり、6月4日には20,200円台まで下げる場面がありました。

6月は月足の一目均衡表で基準線(直近の26ヶ月間の高値と安値の中値)が上昇に転じました。6月後半に向けての戻りのきっかけとなったのが、そのポジティブな基準線の上昇だったような気がします。7月はその基準線は横ばい、ですが、転換線(直近の9ヶ月間の高値と安値の中値)が大幅に低下(21,698円→20,823円)します。

【図表2】日経平均(月足)
出所:マネックス証券作成

過去にも転換線が下げる場面では弱含む月が多かっただけに、月前半は堅調でも、転換線の低下がネガティブに影響すれば、月間ベースのローソク足は「陰線(始値よりも終値が低い)」になる可能性に留意する必要はありそうです。

海外投資家の直近3年間の売買動向の合計で見ると、4月と7月は毎年買い越し。そういった意味では期待が持てますが、8月と9月は売り越す傾向が強い。7月は月初からポジティブな材料が出きった感もある中、本当に買いのタイミングを7月前半にしてよいのかどうか、慎重に見極める必要があります。