先週は日経平均が窓をあけ大幅反発、その後の値動きは?
みなさんこんにちは。株式会社インベストラストの福永です。今週も窓についての解説ですが、前回のコラムでは、窓の発生途中で株価の先行きを予測して判断する必要があると解説しましたが、みなさん覚えていますか?
では、先週の解説を踏まえて値動きの確認を行います。
前回チャート上に表示されていたのは5日と25日移動平均線を割り込んだ6月18日までだったわけですが、その翌営業日となる19日に「トランプ米大統領がG20で中国の習近平国家主席と会談すると発表」しました。窓をあけて大幅に反発して取引が始まった状況のなかで、今後の株価動向を予測する上で重要と思われる2つの見方を立てました。
1つは、「窓があいたまま陽線を形成する」のかどうか。そしてもう1つは「取引終了にかけて売り物に押される展開となり、窓が埋まってしま」うのかどうか、でした。
そこで結果は…。6月19日に窓をあけたまま陽線を形成して終えたことで、翌営業日となる20日もNY市場の上昇を好感して窓をあけて上昇して始まるなど、2日連続で窓が発生し、75日移動平均線をわずかに上回って終える結果となりました。
このように、窓あけによって株価の上昇が続いて75日移動平均線上を回復するところまで戻りが続いたことから、さらなる上昇への期待が高まるところです。しかし、結果的には75日移動平均線上を回復したのは1日だけで、翌営業日に反落すると今週の25日にかけて下落が続き、2日連続で発生した窓を埋めてしまいました。
なぜ株価が押し戻された?考えられる2つの理由
では、なぜこのような結果になってしまったのでしょうか。米中首脳会談の開催といったグッドニュースが飛び込んできて窓が2日連続で発生し、75日移動平均線上を回復したにもかかわらず、結局株価が押し戻されてしまった理由をどう考えればよいのでしょうか。
今後も同じような状況に遭遇するかもしれませんので、しっかり理由を分析しておかなければならないと思いますが、私は2つあると考えています。
1つは75日移動平均線上を回復したものの、75日移動平均線が下向きでサポートになりにくかったこと。もう1つは2日連続であけた窓が2つともコモンギャップで、トレンドを発生させる窓ではなかったということです。
トレンドを判断する際、移動平均線と株価の位置関係だけでなく、移動平均線の向きも考慮する必要がありますが、今回のケースでは75日移動平均線が下向きだったために、75日移動平均線を上回った翌営業日の売り圧力を跳ね返すことができなかったのではないかと思われます。
また、過去の値幅の範囲内で発生した窓だったためコモンギャップという判断になりますが、上昇が止まってしまったために反動から直ぐに窓を埋めることにつながったのではないかと考えられます。
これら2つのポイント(移動平均線の向きとコモンギャップ)が上昇につながらなかったテクニカル的な最大の要因ではないかと思われますので、下向きの75日移動平均線を上回っても維持できないときは高値掴みにならないよう注意しなければなりません。
そうしたなか、来週はいよいよ米中首脳会談の結果が判明し、株価のトレンドが発生しているかもしれません(動かない可能性もありますが…)。まだ埋まっていない上下にあいたどちらの窓に近づいていくのか注視すると同時に、逆のポジションを持っている投資家は損失の発生や拡大に要注意です。