先週土曜日はマネックスグループの株主総会でした。その後の恒例の「説明会」で、私からは暗号資産(=仮想通貨)のお話をさせていただきました。
実は、前日の金曜日に「ビットコイン=1万ドルが次の節目」とレポートしたのですが、その「節目」は翌日、総会の朝にあっさり超えてしまいました。その後も上昇が続き、金曜日夕方以降の上昇率は一時15%を超えました。FATFの規制(マネロン対策など)が発表され不透明感が後退したこと、ロシアで暗号資産が合法化されるかもとの観測記事が流れたことなどが効いたようです。
それでも、暗号資産に対する「いかがわしいもの」という観念は依然根強いままです。我々の5月末から6月初頭の個人投資家アンケートでも、暗号資産は保有したくないと回答した人の半数が、「市場で、怪しいという先入観が強いから」ということを理由に挙げています。
デジタル資産は人類初の試みですから、当然の見方でしょう。人間の心は、技術等の進化に対し、変化の速度がはるかに遅いとされます。タクシーCMで、上司が見事なヒラメ筋を見せつけつつ「足で稼ぐ!それが営業だ!」と新人に説教する、それをスマートなテレマーケティングと対比する、というものがあります。大げさですが、新旧世代の考え方の違いを案外上手く表現している気がします。
しかし、実用化された後の新技術は急速に世の中を変えていきます。ブロックチェーン技術も、もし、フェイスブックが発表した新通貨Libraが実用化された場合、これまでとは全く異なる通貨の世界を見せてくれる可能性があります。これらをどこかで受け入れないと、大きな変化の流れに遅れていってしまうかもしれません。
新しいツールの使い方をマスターするのも大事ですが、それ以上に大切なのは、技術の変化に対し心をアップデートすることかもしれません。ビットコイン価格の「次の節目」を翌日に更新されてしまった心の弱さへの自戒も含め、肝に銘じたいと思います…