“守り”と“攻め”を組み合わせ、相乗効果を狙う

退職一時金を受け取るなどして、ある程度まとまったお金を運用するとなると、どのようなポートフォリオを組めばいいのか、迷ってしまいますね。

そんなとき、参考にしたいのが今話題の「コア・サテライト運用」。分散投資の一種で、資産をコア(中核)とサテライト(衛星)の2つに分けて考える運用方法のことです。日本では1990年代から年金運用の世界に導入され、「年金運用に革命をもたらした」と言われています。

機関投資家の手法がなぜ今、個人投資家に注目されているのかというと、先日発表された金融庁の金融審議会による報告書<「高齢社会における資産形成・管理」>が自助努力を呼びかけているように、個人にも年金資金のような運用が必要な時代になっているからです。具体的には、【1】インフレ時にも資産が目減りしない、そして【2】リスクを極力抑えて目標リターンを得る――ための運用です。

コア・サテライト運用の中心となるのはコアの資産で、長期保有を前提に、リスクを抑えて安定した収益を得られるようにします。片やサテライトは、コアを取り囲む小さな衛星のようなイメージで、一つひとつの衛星がリスクを取って、高いリターンを狙います。特定分野に集中した運用や、相場変動に乗じる形で利ざやを稼いでいくわけです。

コアが“守り”の運用だとすれば、サテライトは“攻め”の運用。2つの運用を組み合わせることで、コアの収益を上乗せしたり、サテライトのリスクヘッジを行ったりすることが可能になります。

コアとサテライトの黄金比率は「8対2」

例えば、コアの部分にはインデックスファンドやETF(上場投資信託)、バランス型ファンドを据え、サテライトには国内外の現物株式、新興国ファンド、テーマ型ファンド、REIT(不動産投資信託)などを持ってくるという考え方もあります。サテライトには、コアとは値動きの異なる金融商品を選ぶのがポイントです。

60代であれば、コアとサテライトの比率は8対2が目安。積極的な投資をしているとサテライトの残高ばかりがどんどん膨らんでしまいがちですが、リスクの大きいサテライト部分は、最大でも3割以内に抑えておきたいものです。

あくまで重要なのはコアの部分で、無理をしてまでサテライトを設定する必要はありません。サテライトの運用には、万一目減りすることがあっても困らない余裕資金を充てるといいでしょう。