5月14日のコラム「米ドル/円相場、現在安値はぎりぎりの位置にある」では5月13日安値位置は下げすぎではあるものの週足、月足均衡表から見てぎりぎりの位置にあることを確認しています。

また、5月21日のコラム「米ドル/円相場を一巡環経過から見る」では一巡環(676日)の変化日として6月11日(2016年11月3日から676日目)、6月17日(2016年11月9日から676日目)が大事であると述べました。

このうち、6月17日は5月13日安値から26日目の基本数値、4月高値から39日目で2018年11月12日からの下落日数38日に見合うものでもあるだけに特に大事となります。

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

ここまでの変動は5月21日110.675円と日足基準線まで戻したものの、24日109.271円と、再び転換線を割り込む下落となり、その後の反発は決して大きいものにはなっていません。

日足基準線が受動的に下げ始めるは5月29日からとなりますが、遅行スパンは先行スパンを割り込んでしまい、現在位置から5月13日を割るようならば6月変化日までの下落は確定視してよいでしょう。

4月高値からの下げ三波動構成変化日は5月30日、6月10日、6月14日となりますが、6月11日、6月14日は何れも一巡環変化日と一日違いとなっています。

計算値はV107.365、E105.638、NT108.944、N107.291が出ており、下げるケースではNT計算値割れで下げの勢いがつくと見ます。

目先変化日は5月29日、30日、これら変化日からの反発がなければ下げる可能性は高いと見ます。

さて前回は遅行スパンを使った相場の把握方法として、基本数値足について説明すると述べました。今回は9週足についてご説明します。

【図表2】米ドル/円(9週足)
出所:筆者作成

図表2は2010年80円割れからの米ドル/円9週足になります。

9週足は、当週の終値と9本前の寄り付きで作成するローソク足となります。考え方としては9の遅行スパンと同じものとしてよいでしょう。

9の遅行スパンの場合は、当週の終値と9本前の終値との比較なので厳密には異なりますが、大雑把には9の遅行スパンが好転(遅行スパンが相場実線よりも上)状態ならば9週足は陽線、逆ならば陰線となります。

9週足の大雑把な使い方としては、第1に9本以上の陽連数、陰連数か否か、第2に基本数値、第3に対等数値となります。

【1】9本以上の陽連=上げ時代、9本以上の陰連=下げ時代を軸
【2】陰連、陽連ともに基本数値週の変化の仕方に注目=大きな変化が起こりやすい
【3】陰連、陽連ともに対等数での変化の仕方に注目=放れか否かを把握

となりますが、9週足のソフトがありませんので9の遅行スパンで上の3つを確認してみましょう。

高機能ツールMonexTraderFX(またはMonexFXspeed)で9の遅行スパンを表示するには、チャート設定で図表3のようにすると良いでしょう。

【図表3】MonexFXspeed操作画面
出所:筆者作成

【1】基本数値欄の数字を9にする
【2】遅行スパン以外の色を無色にする
【3】デフォルトに設定する

【図表4】米ドル/円(9の遅行スパン)
出所:筆者作成

5月28日現在の終値で作成した米ドル/円9の遅行スパンは図表4のようになります。9週足の陰連数、陽連数はどうなっているでしょうか。

【図表5】米ドル/円(9週足の陰連数・陽連数)
出所:筆者作成

2016年からの9の遅行スパンの好転、悪化は図表5のようになります。

陰陽数が5以内で好転悪化を繰り返す状態は、モミアイ相場です。しかしながら、米ドル/円は大きく見ればいくつもの水準でのもみあいが重なっており、そのようなケースでは対等数値の現れ方が顕著となります。2018年からの上昇過程では17陽連が出ましたが、これは前17陰連に対応しています。

その後、1陰、3陽、1陰後(この間モミアイ相場)10陽連、2陰、1陰の高値モミを経て昨年末からの下落となり10陰連が出ましたが、これもまた前10陰連に対応するものです。1月からの上昇では9陽連後今週まで5陰連となっています。

前10陰連に対する9陽連ですから9が出たとはいえ相場の勢いは下げ優勢とみることが出来ますし、現在5陰連目ですが現在位置から上昇無ければ確実に9陰連以上を出してしまう事になります。

従って9週足の観点から見れば、現在位置から上昇無ければ下げ相場を示唆するという大雑把な結論が出てくることになります。

また現在位置からの上昇でも9の遅行スパンは簡単に好転できないこともわかるのですが、時間がかかってでも111円を回復するようなら9週足9陰連後の陽転の可能性は出てくるということになります。

私は9週足、26週足、9ヶ月足などを見ておりますがこれらが同時に好転、悪化する局面は大きく相場が動くケースは多いので皆さんも実際に調べてみてください。