底入れのタイミングを示唆する騰落レシオ

日経平均は週明けまで6日続落。きょうも、このままの雰囲気だと7日続落の公算が大きいようです。2万1000円割れの水準は3月に何度もつけた安値水準でもあり、一定の意識水準ではあるように思います。

ただ、それだけに一気に下回る強い陰線を形成する場合、一段と下値模索につながる公算が大きいのです。その場合でも、2月8日高値の20,562円どころでは止まってほしいところです。

下値模索のときの底入れ判断は難しいものです。一般的なものに、ローソク足の下ヒゲを確認することがありますが、アメリカ株の動向に恐怖心を抱くような状況で下値買いも入りづらいのです。

米中貿易摩擦のように単独の材料が拡大することはあっても、織り込まれていない悪材料でもない限り、セリングクライマックスのような下げに見舞われることもなさそうです。

そこで、あとで気づくことも多いのですが、底入れのタイミングを当ててくれることが多いのが、騰落レシオという指標です。よく新聞などの解説には、東証1部の騰落レシオ(25日)が使われます。東証1部の上場銘柄の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数のそれぞれの25日平均を比率で表したものです。

100%超は値上がりの方が多く、100%未満は値下がりの方が多いことを意味しています。120%以上になると過熱ゾーン、70%以下は底値ゾーンとして、買われ過ぎや売られ過ぎを見るのが一般的です。

底入れゾーンになるまでもう少しの辛抱

図表1で過去を振り返ると、過熱ゾーンでは騰落レシオがピークを付けたあともTOPIX(東証株価指数)はしばらく上昇する傾向がある一方、底値圏では騰落レシオと指数の底がピッタリ合うことが多いのです。

【図表1】TOPIXと東証1部の騰落レシオ(2015年4月1日~2019年5月13日)
出所:QUICK Astra ManagerよりDZHフィナンシャルリサーチ作成

確かに、70%~60%になると世間は弱気ムード一色。そんな状況で株を買うのはメンタル面の強さと経験値が必要ですが、なぜか持ち直してくるといったパターンが多いのです。悪材料を織り込んでいる状況です。

米中の貿易戦争の激化に対する、米国市場の反応はなかなか伝わりにくいですが、騰落レシオから逆算すると、上手くいけば近いうちにいったん織り込む可能性があります。

騰落レシオは、5月9日現在で79%程度まで低下する場面がありました。2018年以降の最低水準は65.5%~75.0%なので、もう少しの辛抱でしょう。

ちなみに、東証1部の上場銘柄は2,140銘柄程度あります。今日、値上がり銘柄1,000、値下がり銘柄1,000となれば、騰落レシオは75%台まで低下する見込み。もし、値上がり銘柄500、値下がり銘柄1,500が続けば、16日には65%まで低下するようです。