英ポンド相場はドル優位の展開が続くと見られる

前回のコラムで「英ポンドやユーロの上値にも自ずと限界が!?」と述べましたが、やはり想定していたとおり、先週末(3月29日)にかけてユーロや英ポンドはドルに対して大きく下値を切り下げる展開となりました。

ユーロ/米ドルは、3月のFOMC(19~20日)が予想以上にハト派の内容だったこともあり、一旦は1.1400ドル処を上回る場面(20日)もありました。

しかし、3月22日に発表された独・仏・ユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)が下振れしたことをきっかけに、再び強い下押し圧力がかかることに。結局は、今年1月初旬以降形成されている下降チャネル内での価格推移に戻されるような格好となっています。

よって、今後は再び下降チャネルの下辺を試す可能性が高く、あらためて1.1200ドル処を下回る水準が意識されやすくなると見られます。なおも一目均衡表の月足「雲」下限を意識した展開が続いており、同水準が4月には1.1000ドルを下回るところまで切り下がるということも、今から一応は念頭に置いておく必要があるものと思われます。

なお、英国のEU離脱の行方については、市場において「合意なき離脱の可能性が高まった」と見る向きがジワジワと増えています。4月12日というタイムリミットが迫るなか、いよいよ余談の許されない状況となってきました。

すでに、英ポンド相場は“合意も秩序もない離脱”の可能性をある程度は織り込んでいると思われるものの、買い戻しの動きは自ずと限られると考えられ、今しばらくポンドが下値を模索するなかで相対的にドル優位の展開が続くものと見られます。

米ドル/円は下値を支えられ基本は強気の展開

ときに、先週は週初に件の“逆イールド騒動”が巻き起こり、米・日をはじめ世界の金融相場が大きく揺す振られる場面もありました。

後に市場関係者らから逆イールドに関する様々な解釈がなされていましたが、なかでも最も説得力があったのは「米クレジット市場の動向に要注目」というものでした。そこで目に見えて激しい動揺が確認されるようであれば、市場は逆イールドを景気後退局面入りの前兆と見ていることになると思われます。

ただ、今のところ米クレジット市場に動揺は見られていません。その証拠にNY市場に上場する「iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF」の市場価格は、なおも足下で強気の展開を続けています。

このETFは「Markit iBoxx米ドル建てリキッド ハイイールド指数」をベンチマークとしており、仮に米クレジット市場の先行きに暗雲が漂う事態となれば、すでに市場価格が急落していてもおかしくはないのです。

また、おなじみのVIX(恐怖)指数が足下で基本的に低下傾向にあることで、米株市場が強含みの展開を続けていることもリスクオンのムードを醸し出す重要な要素となっています。VIX指数は先週末にかけて再び14.00を下回る水準まで低下し、結果的に米株価が上昇したことで米ドル/円は一時110.95円まで値を上げる場面がありました。

目下の米ドル/円は、一目均衡表の日足「雲」上限や週足「雲」下限、さらに月足「雲」上限などに下値をガッチリ支えられており、基本的には強気の展開です。ただ、その一方で上方には89日線や21日線、200日線などが順に控えており、それらが当面の上値抵抗として意識されやすくなっています。

【図表】米ドル/円(日足)
出所:マネックス証券作成

本日(4月1日)は、早い時間から比較的強い動きとなっており、執筆時点においては89日線を上抜けて21日線を試す動きとなっています。この21日線、さらに200日線をも上抜ける展開となってくれば、あらためて112円台をうかがう展開となる可能性が高いと見られ、当座はこれら移動平均線との位置関係に要注目ということになるものと思われます。