英ポンドの戻りもそろそろ一巡の可能性が高い

先週は、何より英国の欧州連合(EU)離脱を巡る英議会での採決の結果が1つの市場の関心事として大いに注目されました。

その結果は、以前から大方想定されていたとおり、最終的には「EUからの離脱の延期」をEUに求める政府動議が採択されることに。今週20日までに英議会が「英・EU合意案」を承認することを条件として、3月29日とされてきた離脱期限を6月末まで延期するという方向性が示されるに至りました。

メイ英首相がEUから取り付けてきている離脱合意案を再度議会が否決した場合、今後の主導権は議会に移すとされており、その場合には総選挙や2回目の国民投票の可能性も浮上してくる可能性があります。

よって、今週もブレグジット関連の報道からは目が離せないということになりそうです。少なくとも「合意なき離脱に突き進む可能性は大幅に低下」といった部分は相場に十分織り込まれており、足下の英ポンドの戻りもそろそろ一巡となる可能性が高いと個人的には見ます。

先週、英ポンド/米ドルは一時1.3380ドルまで値を上げる場面がありましたが、週足チャート上では62週移動平均線や一目均衡表の週足「雲」下限の水準に再び上値を押さえられるような格好となりました。

この週足「雲」は相当に分厚く、かなり手ごわい上値の“壁”として意識される可能性が高いと見られます。まして足下の英ポンド/米ドルは、月足チャート上においても非常に分厚い月足「雲」の存在に上方の行く手を阻まれるような状態となっており、チャート・フェイス的にはそろそろ要警戒ゾーンです。

一方で、先週はユーロ/米ドルも基本的に戻りを試す流れに乗ることとなり、週末15日には一時1.1344ドルまで値を戻す場面もありました。

FOMC日程通過までドル買いは様子見ムードか

少し振り返れば、3月7日行われたECB理事会の結果を受けて大きく値を下げたものの、そこで目先のユーロ売り材料は一旦出尽くしとなり、むしろ「事実で買い」の展開となったわけです。もちろん、当面のユーロの戻りにも自ずと限界はあると見られ、今週あたりからはそろそろ反落リスクへの警戒が必要になってくるものと思われます。

実のところ、ユーロ/米ドルは今年1月初旬以降「下降チャネル」を形成していると見ることができ、現在もなお同チャネル内での価格推移が継続しています。思えば、2月28日高値はチャネル上辺、3月7日安値はチャネル下辺に到達しており、現在は再びチャネル上辺水準に近付いていることに要注目ということになると思われます。

【図表1】ユーロ/米ドル(日足)2018年10月~
出所:筆者作成

仮に、今週あたりから英ポンドやユーロを買い戻す勢いが再び衰えてくるとすれば、次の番はまたドルに回ってくるということになるわけです。

しかし、今週は3月19~20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が行われることとなっており、少なくとも、この日程を通過するまではドル買い様子見といったムードが続いてもおかしくないと見られます。

市場では、今回のFOMCにおける政策論議がよりハト派に傾くと見る向きもあるようで、その実、先週末の米株市場は弱めの指標結果を受けても比較的堅調に推移しました。

言うまでもなく、米株価が堅調に推移すれば、連れて日本株も強気の展開になりやすいうえ、さらに中国株までもが強含みで推移すると、ますます日本株の下値は堅くなります。

そのことが米ドル/円の下支えにもなり、なおも1月初旬から形成されている「上昇チャネル内」での動きは継続。再び200日移動平均線を上抜ける動きも見られており、週末にかけては112円台に再トライする可能性もあると見ます。