中国人選手の加入増加を期待する米大リーグ幹部

サッカーのJリーグはいち早く今シーズンが開幕しましたが、3月に入り、野球のシーズンも近づいてきました。九州、沖縄で始まったプロ野球のオープン戦も札幌ドームまで北上し、シーズン開幕が待ち遠しくなっています。

私の自宅にあるテレビでは、香港のスポーツチャンネルが米大リーグのオープン戦を放映しています。今シーズンは打撃に専念する大谷選手など、多くの日本人選手の活躍が期待されます。

日本では、長く野球が高い人気を誇ってきましたが、サッカーJリーグの創設以降は、他のスポーツとの競争が激しくなっています。少子化が進む中、選手の育成が難しくなるとの懸念も伝えられ、心配になるところです。

中国では、サッカー、バレーボールやバスケットボール、さらに卓球やバドミントンなどの人気が高く、野球はマイナーな存在です。それでも、米大リーグは、有望選手の発掘と将来の中国市場の開拓を目的に、12年前から中国国内に選手の育成機関を設けています。

このほど、ナショナルリーグに所属するミルウォーキー・ブリュワーズが、2001年生まれの中国人投手2名、内野手1名との契約を発表しました。中国の育成機関から大リーグのチームとの契約にこぎつけた選手は、これで合計7名になりました。

大リーグ機構の国際部門の幹部は、「野球は戦術と技術を要するスポーツで、中国人に向いている」とし、中国市場を重視していると述べています。あわせて、今回ブリュワーズと契約した3選手には、野球の魅力を中国に伝える役割を果たして欲しいとしています。

また、ブリュワーズのスカウティング部門の幹部は、中国には才能を有する子どもが多いと述べ、将来より多くの中国人選手が加入することに期待しています。

世界のスポーツにおいて中国市場は魅力的

大リーグの日本人選手といえば、野茂英雄投手が先駆者となり、イチロー選手などを例外として、活躍する選手は多くが投手となっています。中国も同様で、投手に有望選手が多いそうです。

中国でも今後少子化が一段と進むことが予想されており、日本と同様、様々な競技の間で選手の奪い合いが起きることも考えられます。日本以上に厳しい受験競争があり、スポーツや芸術など、子の「一芸」を伸ばしたいと考える親も多いそうです。

人口世界一の中国ですので、日本を追う形で、今後大リーグのチームにも選手が増えていくことが予想され、日本人選手にとって、大リーグ行きが「狭き門」になる可能性もあります。

中国中央テレビ(CCTV)のスポーツチャンネルでは、冬のシーズンに米国バスケットボールNBAの試合が数多く放映されており、人気ぶりが理解できます。後発組の大リーグにとって、市場開拓は容易でないものと思われますが、NBAで活躍した姚明選手のようなスターが出現すれば、勢力図が一変する可能性もあります。

世界のスポーツにおいて、中国市場がとても魅力的であることが理解できるとともに、スポーツもビジネスであり、国力あるいは経済力とつながっていることを思い知らされます。日本のスポーツ界、スポーツビジネスが将来縮小、じり貧にならないかと心配にもなってしまいます。

とはいえ、まずは今年もプロ野球のペナントレースに、また米大リーグでの日本人選手の活躍に注目したいと思います。