このレポートのまとめ
- ジョンソン&ジョンソンの決算はガイダンスが悪かった
- IBMの決算は、まちまちだった
- プロクター&ギャンブルの決算は良かった
- ユナイテッド・テクノロジーズの決算は売上ガイダンスが悪かった
- コムキャストの決算は良かった
- テキサス・インスツルメンツの決算は悪かった
- インテルの決算は悪かった
- スターバックスの決算は良かった
- インテューイティブ・サージカルの決算は予想に一致した
■ジョンソン&ジョンソン(JNJ)
ジョンソン&ジョンソン(ティッカーシンボル:JNJ)の第4四半期決算は一株利益(EPS)が予想1.95ドルに対し1.97ドル、売上高が予想202.7億ドルに対し203.9億ドル、売上高成長率は前年同期比+1.0%でした。
営業ベースでの売上高成長率は+3.3%でした。為替の売上に対する影響は-2.3%でした。
内訳は次の通り:
【消費者部門売上高】
米国 前年同期比+7.3%の14.79億ドル
海外 前年同期比+0.8%の20.57億ドル
【薬品部門売上高】
米国 前年同期比+2.8%の59.36億ドル
海外 前年同期比+13.7%の42.54億ドル
【医療機器部門売上高】
米国 前年同期比-3.0%の32.14億ドル
海外 前年同期比-1.4%の34.54億ドル
主な薬の売上は下記の通り:
レミケイド 前年同期比-14.5%の12.38億ドル
ステララ 前年同期比+35.0%の14.44億ドル
イムブルビカ 前年同期比+38.8%の7.03億ドル
ザイティガ 前年同期比+5.9%の7.86億ドル
【決算カンファレンスコール】
同社の決算カンファレンスコールでは、ベビー・パウダーの発がん性を巡る報道に関し会社側から説明がありました。
まずその背景ですが、12月15日にロイターが同社はベビー・パウダーの発がん性を知りながらそれを隠ぺいするために科学調査報告書をねつ造し、米国食品医薬品局(FDA)にも事実を報告しなかったと報道しました。
ベビー・パウダーに使用されている滑石(かっせき=talc)は、時としてアスベストを含んでいる場合があることは昔から知られていました。
ベビー・パウダーが癌の原因ではないか? ということを疑ってきた消費者は多く、これまでに1.2万人が同社を訴えてきました。
しかし裁判では原告側が証拠を提出する必要があり、これまで原告側は決定的な証拠を掴むことができなかったのです。
今回、ロイターはこれまでにジョンソン&ジョンソンが提出した膨大な量の社内書類や報告書を徹底調査した結果、組織だった隠ぺいがあったと報道したわけです。
それによると、まず1970年代にイタリアの滑石鉱山の鉱夫の間で、肺ガンにかかる人が異常に多いという報告がありました。
滑石は珪酸塩鉱物の一種で化粧用の打ち粉に使用されます。
ジョンソン&ジョンソンは安全性調査をスポンサーし、その結果が同社にとって都合が悪いものであったので、ゴーストライターを雇って報告書を改変したとロイターは報道しました。
また別のケースでは、アメリカ政府がバーモント州における滑石生産に携わる従業員の健康問題に関する調査をしたとき、ジョンソン&ジョンソンの子会社であるウインザー・ミネラルズを通じてアメリカ国立労働安全衛生研究所の研究員と仲良くなり、データの解釈に関して同社の都合の良いような分析をするよう働きかけたそうです。
今日のカンファレンスコールで、ジョンソン&ジョンソンはタルクを巡る事実がちゃんと理解されるよう周知徹底する決意があること、ならびに同社の製品が安全であることを今後も主張してゆく考えがあることを表明しました。
またベビー・ケア製品は米国では売上が落ちていますが、グローバルに見ると中国での成長に牽引されて+2.1%で成長していると述べました。
2019年度の一株利益(EPS)は、予想8.60ドルに対し新ガイダンス8.50~8.65ドルが提示されました。売上高は予想827.4億ドルに対し、新ガイダンス804~812億ドルが提示されました。
■IBM(IBM)
IBM(ティッカーシンボル:IBM)の第4四半期一株利益(EPS)は予想4.82ドルに対し4.87ドル、売上高は予想217.9億ドルに対し217.6億ドル、売上高成長率は前年同期比-3.5%でした。
コグニティブ・ソリューションズ部門売上高は、前年同期比±0%の55億ドルでした。ソリューションズ・ソフトウェア(=アナリティックス、AIなど)が好調でした。
グローバル・ビジネス・サービセズ部門売上高は、前年同期比+4%の43億ドルでした。コンサルティング、アプリケーション・マネージメント、グローバル・プロセス・サービスが好調でした。
テクノロジー・サービス&クラウド・プラットフォーム部門売上高は、前年同期比-3%の89億ドルでした。ハイブリッド・クラウドが好調でした。
システムズ部門売上高は前年同期比-21%の26億ドルでした。
2019年の一株利益(EPS)は、予想13.81ドルに対し新ガイダンス13.9ドルが提示されました。フリー・キャッシュフローは120億ドルが提示されました。
■プロクター&ギャンブル(PG)
プロクター&ギャンブル(ティッカーシンボル:PG)の第2四半期(12月期)決算は一株利益(EPS)が予想1.21ドルに対し1.25ドル、売上高が予想171.6億ドルに対し174.4 億ドル、売上高成長率は前年同期比+0.2%でした。
オルガニックな売上高成長率は+4.0%でした。うちボリュームが+2%、価格が1%、ミックスの改善が+1%でした。
ミックスの改善に関しては、前期に続きプレミアムのスキンケア製品「SK-Ⅱ」が力強く成長したことが寄与しました。
ビューティー部門のオルガニック売上高は前年比で8%成長しました。
ヘルスケア部門のオルガニック売上高は前年比で5%成長しました。
グロスマージンは1%下落しました。うち20ベーシスポイントはリストラ・チャージ、60ベーシスポイントは為替がネガティブに働きました。
2019年度のオルガニック売上高成長率は、+2~4%を見込んでいます。一株利益(EPS)は予想4.40ドルに対し、新ガイダンス4.35~4.56ドルが提示されました。
■ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)
ユナイテッド・テクノロジーズ(ティッカーシンボル:UTX)の第4四半期決算は一株利益(EPS)が予想1.53ドルに対し1.95ドル、売上高が予想168.7億ドルに対し180.4億ドル、売上高成長率は前年同期比+15.1%でした。
2019年度の一株利益(EPS)は予想7.80ドルに対し新ガイダンス7.70~8.00ドルが、売上高は予想771.8億ドルに対し新ガイダンス755~770億ドルが提示されました。
■コムキャスト(CMCSA)
コムキャスト(ティッカーシンボル:CMCSA)の第4四半期決算は一株利益(EPS)が予想63セントに対し64セント、売上高が予想275.6億ドルに対し278.5億ドル、売上高成長率は前年同期比+26.1%でした。
連結修正EBITDAは+21.6%の82億ドルでした。
ケーブル・コミュニケーションズ部門売上高は+5.2%の141億ドルでした。高速インターネット、広告収入、ビジネス・サービスが寄与しました。その反面、ビデオ売上高は減少しました。高速インターネット売上高は+10.1%でした。加入者増と値上げが寄与しました。
今期の加入者数は+25.8万人、トータルは3,030万人でした。高速インターネット加入者は+35.1万人でした。ビデオ顧客数は-2.9万人でした。電話顧客数は+2,000人でした。セキュリティーならびにオートメーション顧客数は+3.9万人でした。
NBCユニバーサル売上高は+7.1%の94億ドルでした。修正EBITDAは+12.3%の21億ドルでした。放送TV部門、ケーブル・ネットワーク部門が寄与しました。その反面、映画は減少しました。
顧客離反率は幅広い部署で改善しています。モバイル事業の進捗には満足しています。ストリーミングの番組は差別化されており、プレミアム・コンテンツに自信を持っています。
■テキサス・インスツルメンツ(TXN)
テキサス・インスツルメンツ(ティッカーシンボル:TXN)の第4四半期決算は一株利益(EPS)が予想1.24に対し1.27ドル、売上高が予想37.5億ドルに対し37.2億ドル、売上高成長率は前年同期比-0.9%でした。
アナログは+4%、エンベッデッドは-12%でした。第3四半期から見られ始めた需要の減退は、第4四半期も続きました。特にスマホ向け半導体が弱かったです。中国のスマホ・メーカーからの受注も弱かったです。
卸業者は、米中貿易戦争で在庫を取ることに対し用心深くなっています。
自動車向け半導体、工業向け半導体も需要が減退しました。その反面、5Gに向けてコミュニケーション半導体は好調でした。
現在の在庫水準は目標より未だ高めです。
第1四半期の一株利益(EPS)は予想1.21ドルに対し新ガイダンス1.03~1.21ドルが、売上高は予想36.1億ドルに対し新ガイダンス33.4~36.2億ドルが提示されました。
■インテル(INTC)
インテル(ティッカーシンボル:INTC)の第4四半期決算は一株利益(EPS)が予想1.22ドルに対し1.28ドル、売上高が予想190.2億ドルに対し186.6億ドル、売上高成長率は前年同期比+9.4%でした。
PCセントリック・ビジネス(CCG)売上高は+10%の98億ドルでした。ビジネス向け、ゲーム向けプロセッサが好調でした。第9世代コア・マイクロプロセッサ「アイスレイク」は10ナノメーター線幅の微細加工技術を駆使した最新鋭のチップで、これを搭載したパソコンが店頭に並ぶのはクリスマスシーズンになると思われます。
データ・セントリック・ビジネス(DCG)売上高は+9%でした。うちクラウド向けは+24%、コミュニケーション向けは+12%、エンタープライズ向けは-5%でした。インテルは「ゼオン」のハイパフォーマンス機種「カスケードレイク」を最近発表しました。これはAIやメモリ機能を強化した製品で、すでに出荷が始まっています。
インターネット・オブ・シングス・グループ(IoTG)売上高は-7%でした。但しウインドリバー部門を除いた比較では+4%でした。ウインドリバーは第2四半期に処分しました。
メモリ・ビジネス(NSG)売上高は+25%でした。
プログラマブル・ソリューションズ・グループ(PSG)売上高は+8%でした。
モービルアイ部門売上高は+43%の1.83億ドルでした。2018年中、モービルアイは28のデザイン・ウインを獲得、現在78車種に採用されています。
第1四半期の一株利益(EPS)は予想1.01ドルに対し新ガイダンス87セントが提示されました。売上高は予想173.8億ドルに対し新ガイダンス160億ドルが提示されました。
2019年度の一株利益(EPS)は予想4.54ドルに対し新ガイダンス4.60ドルが、売上高は予想732.2億ドルに対し新ガイダンス715億ドルが提示されました。
年間配当は1.26ドルに引き上げられました。
■スターバックス(SBUX)
スターバックス(ティッカーシンボル:SBUX)の第1四半期(12月期)決算は一株利益(EPS)が予想65セントに対し75セント、売上高が予想64.9億ドルに対し66.3億ドル、売上高成長率は前年同期比+9.2%でした。
グローバル既存店売上比較は予想+3%に対し+4%でした。うち来店客数は+1%、価格は+3%でした。
米州既存店売上比較は+4%でした。来店客数は±0%、価格が+4%でした。
中国アジア太平洋既存店売上比較は+3%でした。うち来店客数は+1%でした。価格は+2%でした。
中国既存店売上比較は+1%でした。うち来店客数は-2%でした。価格は+3%でした。
ノンGAAP営業マージンは17.4%でした。これは-180ベーシスポイントの下落でした。
2019年度の一株利益(EPS)は予想2.65ドルに対し新ガイダンス2.68~2.73ドルが提示されました。旧ガイダンスは2.61~2.66ドルでした。グローバル既存店売上比較ガイダンスは+3~4%を見込んでいます。旧ガイダンスは+3~5%でした。
■インテューイティブ・サージカル(ISRG)
インテューイティブ・サージカル(ティッカーシンボル:ISRG)の第4四半期決算は一株利益(EPS)が予想3.07ドルに対し3.13ドル、売上高が予想10.5億ドルに対し10.5億ドル、売上高成長率は前年同期比+17.3%でした。
世界でのダビンチ処方数は+19%でした。今期システム出荷台数は290台でした。ちなみに去年の同期の出荷台数は216台でした。
2019年度の処方成長率は+13~17%を見込んでいます。これに対し2018年通年の実績は+18%でした。
2019年度のグロスマージンは70~71%を見込んでいます。