今週の相場動向

相場回顧 BTC 下落止まらず2週連続で年初来安値を更新

BTCはBCHハードフォーク後の様子見姿勢から軟調な推移が続いていたが、11/19に急に売りが加速しBTC=60万円を下回ると、底値を探る動きから下落が続いた。

節目となるBTC=50万円を割り込む場面も見られ2週連続で年初来安値を更新した。BCHのハッシュウォーを巡って市場全体に不信感が広がる中で、Tether懸念の高まり、Bakktの先物取引開始日の延期に市場が過剰に反応したとの見方もある。

XRPはBCHハードフォーク以降BTC建てで上昇が続いており、Ripple社関連の報道も相次ぐ中で逃避先として資金が向かっていると思われる。

 
 

今週のトピックス

  • Huobiグループ、中国北京に共産党支部を設立。(11/16)
  • スイス証券取引所、世界初となる仮想通貨ETP上場へ。(11/16)
  • 米SEC、未登録ICO2社に対して罰金を課すと発表。(11/16)
  • 米SEC、ShapeshiftのCEOをマネロン疑惑で調査。(11/16)
  • イスラエル初の仮想通貨投資企業、投資信託ファンドの運用開始。(11/18)
  • bitFlyer、アフィリエイトプログラムを今月で終了すると発表。(11/19)
  • OKEX、HF前のBCH先物早期決済への苦情に関して声明発表。(11/20)
  • 米Bakkt、BTC先物取引開始日を来年1/24に延期すると発表。(11/20)
  • 米司法省、TetherによるBTCの価格操作疑惑を捜査。(11/20)
  • 国税庁、税申告簡素化の為の計算書を公表。(11/21)

来週の相場予想

来週の相場予想

BTCは50万円台を維持できるかに注目。

BCHハードフォーク以降の混乱により約1年ぶりの水準にまで下落したが、市場では更なる下落への警戒感が強まっている。追加的な悪材料が出れば相場はすぐにでもBTC=50万円を割り込むだろう。 一方で、RSI指標等から売られすぎとの見方もあるが、投資家心理として積極的な買いに動くことも考えづらく、大きな回復は期待できないと思われる。

XRPの強い動きがどこまで続くかには注目が必要であり、資金がXRPに向かえば他通貨の下げ要因となり得る。

来週のトピックス

  • Crypto Expo Asisがホーチミンで開催。(11/24)
  • Token News Conferenceがマニラで開催。(11/25)
  • AIM Summitがドバイで開催。(11/26-27)
  • Beyond Blocks Summitがバンコクで開催。(11/26)
  • Blockchain for Europeがブリュッセルで開催。(11/27)
  • Asia Blockchain Weekがシンガポールで開催。(11/27-12/1)
  • Blockchain Expoが米カリフォルニアで開催。(11/28-29)

業界関連動向

規制動向 MASが決済プロバイダーへの規制拡大。

11/19、シンガポールの中央銀行であるシンガポール金融管理局(MAS)が、決済プロバイダーに対する規制制度を拡大し、仮想通貨などの一部をその管轄下に置くという新法案、決済サービス法案(PSB)を国会に提出したと現地メディアが報じた。

MASの説明によると、PSBは消費者の資金をより安全に守ると共に、テロに対抗し、サイバーセキュリティーを支援することを目的とした法案であり、重要性の高い決算システムを中央銀行の監視下に置くことと、決済サービスプロバイダーに対してライセンスの申請を要求することの2つを軸に構成されている。

仮想通貨分野においては、GrabPay、BTCおよびETHなどの電子ウォレットやデジタル決済トークンが、この法案の影響を受けると予測されている。

個別企業動向① IBMおよび米コロンビア大がアクセラレータプログラムを開始。

11/19、IBMと米コロンビア大学が仮想通貨・ブロックチェーンスタートアップ企業を対象に、グロース段階向けとプレシード段階向けの2つのアクセラレータプログラム(AP)を開始すると発表した。

双方とも参加者は約2ヶ月という期間をかけてIBMと米コロンビア大学が持つ技術や専門知識、ネットワーク等あらゆるリソースを使いながら事業のブラッシュアップに努め、優良企業には主催者側と提携を結ぶ機会も開かれている。この業界におけるAPは、従来のVCや大手企業だけでなく取引所やICO企業等新興勢力が主催するものもあり、その数はあちこちで開かれるカンファレンスと同様に増える傾向にある。

その中でコンテスト入賞を売り文句とするICO企業も見られ、今回で言えば信頼に足るだろうが、投資を検討する際には本当にそれが評価に値するのかどうかを見極める必要がある。

個別企業動向② カード業界コンソーシアムが不正情報共有に関する実証実験を開始。

11/16、ブロックチェーン技術等を活用したカード業界コンソーシアムの事務局を務めるSBI Ripple Asiaは、コンソーシアム会員である三井住友カードやJCBカード、AMEXカード等主要カード発行会社9社ほか2社と、分散台帳技術(DLT)を活用した不正情報の共有に関する実証実験を開始すると発表した。

DLT基盤には各国の大手金融機関が参加するR3コンソーシアムとしても知られるR3社提供のCordaが採用され、各社が独立したノードを運営することで会員間での情報共有を行う。今回の実験は、カード取引における不正情報を関係者間でリアルタイムに共有することで、不正被害の拡大防止を図るものであり、将来的には加盟店や決済代行業者らも含めた幅広い当事者間での情報共有が想定されている。

今後実験が成功し実用化に向けた話が進めば、業界全体のセキュリティ向上に寄与する面も大きい。

コラム BTC相場下落時に心に留めておくべきこと。

BTC価格の下落が止まらない。この時多くの人はBTC延いては仮想通貨全般への不安を抱くだろう。

確かに投資対象として見た時に短期的な視点からは売りに動くことが損失を最小化する意味でも合理的と言えるかもしれない。現に売りが加速し、BTC価格は節目となる50万円を割り込む水準まで下落している。

今回の下落を悲観的に捉える投資家も多くいると思うが、私は敢えてその見方を真っ向から否定したい。というのも、仮想通貨・ブロックチェーンが社会を便利にし得るという期待感が、たとえBTC価格が大きく下落した状況であっても失われていないからである。

今この業界で開発に励む人たちは、各通貨の価格の上げ下げに一喜一憂することはほとんどない。彼らは社会を良くすることだけを考えているのである。その情熱が冷めない限りこの業界が終焉を迎えることは断じてないと言えるだろう。

 

株式会社Baroque Street アナリスト 松嶋 真倫 (編集校正:マネックス仮想通貨研究所