SEC-米証券取引委員会が、年末までを目処に、新しい仮想通貨を作った場合にそれが「証券」に当たるか否かが簡単に分かるような、"Plain English"のガイドラインを作ると発表しました。Plain Englishとは平明な英語、分かりやすい英語という意味です。これは、資本市場オタクからすると、中々意味合いの深い発言です。

今から20年ほど前、1998年の夏に、SECは"Plain English Handbook"なるものを発行しました。これは当時、証券の発行体による開示文書が、専門的な用語が多用されて、一般の人に分かりにくいという観察と反省から、とにかく分かりやすい英語(文章)で開示文書を書くように薦める、或いは指導するものでした。受け身で書かない。難しい単語を使わない。云々。

「始めに」は彼のウォーレン・バフェットが書き、自分は企業を買う専門家で何社も買ってきたが、企業の開示文書は私にも良く分からない。自分が自分の会社のアニュアルレポートを書く時には、自分の兄弟たち(お姉さんか妹です)が読んでも分かるように書くように努めている。彼女らはとても聡明だが、企業会計などの専門家ではない。そのように書くことが大切だ、と説明したのでした。このハンドブックは、SECの文書ですが、名著です。

今回の仮想通貨に関して、仮想通貨コミュニティに人たちに対して、何が証券に当たるのかのガイドラインを"Plain English"で書きます、とSECが発言した裏には、きっとこの名著、"Plain English Handbook"のことが念頭にあったに違いありません。SEC側から新しいコミュニティに近付こうとする姿勢に、私はアメリカの資本市場コミュニティの強さを感じました。そして仮想通貨は、そのくらい伝統的な資本市場コミュニティの人たちにとっても、重要なものになってきているのでしょう。